カンファレンスリーグの1勝がCL出場を決めた

5月7日、ラージョ・バジェカーノはUEFAカンファレンスリーグ準決勝第2戦でストラスブールを1-0で下し、2戦合計2-0で決勝進出を決めた。42分、ルジューヌのシュートをGKペンダースが弾くと、こぼれ球に反応したアレマンが押し込んだ。後半アディショナルタイムにはストラスブールがPKを獲得したが、GKアウグスト・バタージャがフリオ・エンシソのキックを読み切って阻止し、続く詰めにも反応した。スコアは動かず、ラージョは欧州の舞台で初の決勝に駒を進めた。

この結果は、ラージョだけの話では終わらなかった。スペインの2025-26シーズンの協会クラブ係数がドイツにとって追いつけない水準に達し、2026-27シーズンのEuropean Performance Spot(EPS)獲得が確定した。EPSとは、直前シーズンの欧州大会成績が優秀だった上位2協会に与えられるCLリーグフェーズの追加枠である。スペインがこれを確保したことで、来季のラ・リーガは上位5クラブがCLリーグフェーズに直行できる。

アトレティコ・デ・マドリードは、34試合消化時点で4位・63ポイント。6位セルタは47ポイントで、残り4試合を全勝しても59ポイントにとどまる。アトレティコのトップ5入りは計算上確定しており、スペインの5枠が確保された瞬間に来季CL出場も決まった。

なぜカンファレンスリーグのラージョの勝利が、チャンピオンズリーグのアトレティコの出場権に結びつくのか。答えは、CLリーグフェーズ36枠の配分構造と、UEFAの協会係数の仕組みにある。

36枠はどう配分されるか

2024-25シーズンから導入された新フォーマットでは、CLリーグフェーズに参加するクラブは36。この36枠は、国内リーグの順位だけで埋まるわけではない。複数のルートが組み合わさって構成されている。2026-27シーズンを例に、その内訳を分解する。

最も大きな枠は、各国の国内リーグ順位から自動的にリーグフェーズに入る枠である。UEFAの協会ランキング1〜4位の国(2026-27ではイングランド、イタリア、スペイン、ドイツ)は各4クラブ、計16枠。5位のフランスは上位3クラブで3枠。6位のオランダは上位2クラブで2枠。7〜10位のポルトガル、ベルギー、チェコ、トルコはそれぞれリーグ優勝クラブが1枠ずつで計4枠。ここまでで25枠になる。

これに加えて、CL優勝クラブとEL優勝クラブにそれぞれ1枠ずつ、タイトルホルダー枠として保証される。計2枠。そして、直前シーズンの欧州大会成績に応じたEPSが2枠。ここまでの合計が29枠で、残り7枠は予選・プレーオフを勝ち上がったクラブに割り当てられる。

CLにはリーグフェーズの前に予選があり、大きく2つのルートに分かれる。ひとつは、主に各国リーグ王者が進むチャンピオンズパス。もうひとつは、上位国の2位、3位、4位など、国内王者ではないクラブが進むリーグパスである。2026-27シーズンは、チャンピオンズパスから5クラブ、リーグパスから2クラブがリーグフェーズに入る。

29+7で36。この構造を理解すると、「ラ・リーガは4枠」という表現が正確には固定値ではないことが分かる。4枠は、あくまで5年間の協会係数で上位4協会に入っているから与えられる基本枠である。直前シーズンの成績でEPSを得れば5枠に増える一方、長期的に欧州での成績が落ちれば、協会ランキングを下げて基本枠そのものが3枠以下になる可能性もある。CL出場枠は、各リーグに永久に与えられた権利ではなく、欧州大会で積み上げた結果によって動く枠なのである。

「基本枠」と「追加枠」を分ける2つの係数

UEFAの協会係数には、実は2つの異なる時間軸が存在する。ここが、制度を理解するうえで最も重要なポイントになる。

ひとつ目は、5年間の協会係数である。各シーズンの協会係数は、その国のクラブがUEFA3大会(CL・EL・カンファレンスリーグ)で獲得したポイントの合計を、参加クラブ数で割って算出される。勝利で2ポイント、引き分けで1ポイント。予選ラウンドではポイントが半分になる。さらに、各大会でのラウンド到達に応じたボーナスポイントが加算される。この1シーズン分の係数を5年分積み上げた合計が、各国の協会ランキングを決定する。

この5年間の累積が、各国に割り当てられる「基本枠」の根拠になる。UEFAは、各国・各クラブがどの大会のどのラウンドから出場するかを定める枠配分表を「アクセスリスト」と呼ぶ。たとえば2025-26シーズンのアクセスリストは、2019-20から2023-24までの5シーズン分の係数に基づいており、直前の2024-25シーズンの成績はここには含まれない。つまり、基本枠の変動には一定のタイムラグがある。

ふたつ目は、単年の協会クラブ係数である。計算方法は同じだが、対象期間が直前の1シーズンだけに限られる。UEFAはこの単年係数の上位2協会に、EPSという追加のリーグフェーズ枠を翌シーズンに即座に付与する。5年間の蓄積は「安定したリーグの実力」を測り、単年の係数は「直前シーズンの勢い」を即時に反映する。2つの時間軸を使い分けることで、強いリーグに多くの枠を与えるという原則を維持しながら、直前の成績にもインセンティブを与えている。

なお、「協会係数」「クラブ係数」「協会クラブ係数」は似た名前だが別物である。協会係数は5年累積で各国の枠数を決め、クラブ係数は個別クラブの過去5年間の成績でシード順や予選での扱いを決める。協会クラブ係数は単年で、EPS用のランキングに使われる。本文では以降、文脈に応じて区別する。

ラージョが動かした0.250とバタージャが守った0.125

EPSは、直前シーズンの協会クラブ係数の上位2協会に各1枠、合計2枠が付与される。その枠は、国内リーグですでにCLリーグフェーズ直行権を持つクラブの次の順位のクラブに渡る。基本4枠の国であれば、リーグ5位のクラブがCLに入れるようになる。

この仕組みは、2024-25シーズンから動いている。初年度はイタリアとドイツがEPSを獲得し、セリエA5位のボローニャとブンデスリーガ5位のドルトムントが恩恵を受けた。2025-26シーズンではイングランドとスペインが獲得し、プレミアリーグ5位のニューカッスルとラ・リーガ5位のビジャレアルがCLリーグフェーズに加わった。今季のCLにスペインから5クラブ(バルセロナ、レアル・マドリード、アトレティコ、アスレティック・クルブ、ビジャレアル)が参加しているのは、このEPSがあるからである。

そして2026-27シーズンに向けた争い。5月4日時点では、イングランドが1枠目を確定し、2枠目をスペインとドイツが競っていた。スペイン勢のシーズンを振り返ると、CLではアトレティコが準決勝に進んだものの、レアル・マドリードとバルセロナは準々決勝で敗退し、ビジャレアルとアスレティック・クルブはリーグフェーズで姿を消した。ELではベティスとセルタが準々決勝止まり。スペイン勢は大会から姿を消すクラブが増え、追加でポイントを稼ぐ機会を減らしていた。その間に、係数争いではドイツの追い上げを受けていた。

ここで浮上したのが、カンファレンスリーグで快進撃を続けるラージョ・バジェカーノだった。5月7日のストラスブール戦、ラージョの勝利はスペインに2ポイントをもたらした。協会クラブ係数ではその国の参加クラブ数で割るため、スペインの8クラブで計算すると+0.250の加算になる。さらに決勝進出ボーナスも入る。

この場面は、少し丁寧に分けて考える必要がある。エンシソのPKが決まって1-1になっていても、2戦合計ではラージョが2-1で上回るため、決勝進出そのものは変わらなかった。その場合でも、引き分け分のポイント(1÷8=+0.125)と決勝進出ボーナスはスペインに入る。

それでも、バタージャのセーブには大きな意味があった。PKを止めたことで、ラージョは引き分けではなく勝利で試合を終えた。勝利なら2ポイント、引き分けなら1ポイント。スペインは8クラブで割るため、その差は協会係数上の+0.125になる。つまり、バタージャが守ったのは「決勝進出」ではなく、「勝利と引き分けの差」だった。この+0.125が加わったことで、5月8日時点の係数上、ドイツはスペインに追いつけなくなり、2026-27シーズンのスペインのEPS獲得がこのタイミングで確定した。

制度の内部に入ると見える構図がある。ラージョはカンファレンスリーグという、CL・ELの下に位置する3番目の大会で戦っていた。もちろん、3大会のポイントが完全に同じ重みで扱われるわけではない。勝利と引き分けの基本ポイントは共通しているが、決勝トーナメントのラウンド到達ボーナスはCL、EL、カンファレンスリーグで差がつけられている。ラウンド16以降では、CLは各ラウンド到達に1.5ポイント、ELは1.0ポイント、カンファレンスリーグは0.5ポイントと、大会の格に応じた重みづけがある。

それでも、UEFAの協会クラブ係数は3大会すべてのポイントを合算する。だから、カンファレンスリーグの1勝も、国全体の係数には確かに反映される。大会の格は違っても、欧州大会で積み上げた結果が、翌年のチャンピオンズリーグ出場枠に影響する。ラージョの勝利は、その仕組みを分かりやすく示した出来事だった。

タイトルホルダー枠とリバランス

36枠のうち、国内リーグ順位ともEPSとも異なるルートで配分されるのが、タイトルホルダー枠である。CL優勝クラブとEL優勝クラブには、それぞれ翌シーズンのCLリーグフェーズへの自動出場権が保証される。国内リーグで何位であっても、タイトルを取れば翌年のCLに出られる。

ただし、タイトルホルダーが国内リーグの順位でもCL出場権を得ている場合、枠が「余る」。この余った枠の処理はリバランスと呼ばれ、CL王者枠とEL王者枠で対象範囲が異なる。

CL王者枠のリバランスでは、余った枠は協会ランキング11〜55位の国内リーグ王者のうち、個別のクラブ係数が最も高いクラブに渡る。つまり、CL予選のチャンピオンズパスに参加しているクラブの中から繰り上がる形になる。一方、EL王者枠のリバランスでは、CL予選に参加するクラブ全体、チャンピオンズパスとリーグパスの両方が対象になる。両者を一括りにはできない。

実例がある。2024-25シーズンのCLではパリ・サンジェルマンが優勝したが、国内リーグであるリーグ1の上位枠でもCL出場権を確保していた。その結果、CL王者枠はリバランスされ、予選に回っていたオリンピアコスがリーグフェーズに直接昇格した。

2025-26シーズンのCL決勝は、5月30日にブダペストのプシュカーシュ・アレーナでパリ・サンジェルマン対アーセナルの対戦が予定されている。両クラブとも国内リーグ経由でも来季CL出場圏にいるため、優勝クラブによっては再びリバランスが発生する可能性がある。具体的にどのクラブが恩恵を受けるかは、各国リーグの最終順位とクラブ係数の確定後に決まる。

アトレティコが走る2つの順位表

アトレティコ・デ・マドリードにとって、2026-27シーズンのCL出場は確保された。34試合消化時点でラ・リーガ4位・63ポイント。5位レアル・ベティスとは10ポイント差、6位セルタとは16ポイント差があり、セルタが残り4試合を全勝してもアトレティコには届かない。スペインの5枠が確定した時点で、アトレティコの来季CL出場も確定した。

だが、ここで注目すべきはアトレティコ自身もこの「5枠確保」に貢献していたという事実である。アトレティコは今季のCLでプレーオフからクラブ・ブルージュ、ラウンド16でトッテナム、準々決勝でバルセロナを破り、準決勝でアーセナルに合計1-2で敗れた。準決勝まで進んだことで、アトレティコは勝利ポイントに加えて各ラウンドの到達ボーナスも積み上げ、スペインの協会クラブ係数に大きく貢献した。ラージョだけでなく、アトレティコ自身の勝ち上がりがなければ、スペインとドイツの差はさらに縮まっていた。

この構造には、フィードバックループがある。各クラブが欧州大会で勝つことが、翌年のリーグ全体の出場枠を広げる。広がった枠がリーグの競争力を維持し、それが次のシーズンの係数にもつながる。逆に欧州で振るわなければ、基本枠すら減りうる。フランスは現在、協会ランキング5位で基本枠は3。かつてのように4位に戻れなければ、上位4クラブが自動的にCLに出られるわけではない。

ラ・リーガのクラブにとって、国内リーグの順位表だけが競争の場ではない。UEFAの協会係数という「もうひとつの順位表」が、各国に何枠のCL出場権が与えられるかを左右している。ラ・リーガの試合だけ追っていては見えにくいが、欧州大会の1勝は翌年の出場枠に跳ね返る。カンファレンスリーグでのラージョの1勝がアトレティコのCL出場確定につながったことは、その仕組みを最も分かりやすく示す例だった。

今日のチョリスモ実践
ひとつの勝利が、自分だけでなく周囲の環境まで変えることがある。日々の仕事でも、自分の成果が所属するチームや組織全体の評価にどう跳ね返るかを意識してみたい。