アトレティコ
3 - 2
レアル・ソシエダ

前哨戦の幕開け──ソルロートの電光石火とソレルの一撃

コパ・デル・レイ決勝を6週間後に控えた両チームが、リヤド・エア・メトロポリターノで激突した。観客60,788人が見守るなか、アトレティコ・マドリードは開始わずか5分で試合を動かす。

起点はジュリアーノ・シメオネのロングスロー。ボックス内に投じられたボールをホセ・マリア・ヒメネスがヘッドでフリックし、アレクサンダー・ソルロートがマーカーのJ.マルティンを背負いながら右足で先に触り、ゴール上部に叩き込んだ。昨季、同じ相手にラ・リーガ史上最速ハットトリックを達成したノルウェー人は、10カ月後の再戦でもわずか4分30秒で仕事を終えた。

しかしソシエダの反応は素早かった。9分、スチッチに前進を許すと、カルロス・ソレルがエリア手前でボールを受け、鋭い左足のシュートをゴール左上に突き刺した。立ち上がりの勢いに水を差す、質の高い一撃だった。

1-1に戻った後も、試合の構図はアトレティコの優位に傾いていた。ヒメネス、ソルロート、アデモラ・ルックマンがいずれもシュートを放つが枠を捉えられない。20分にはダビド・ハンツコがスチッチへのファウルで今季初のイエローカードを受ける──38試合3,208分を経ての初カードだった(football-espana)。相手の落ち着いたビルドアップを阻害するハイプレスは前半を通じて機能しており、実際BBCの試合スタッツでは相手ボックス内タッチ数が最終的に56対10を記録するなど、アトレティコの優勢は数字にも明確に表れることとなった。

前半の終わりに暗い影が差した。アディショナルタイム、ロドリゴ・メンドーサがアンデル・バレネチェアとのグラウンドデュエルで右足首を負傷。ピッチ上で苦悶の表情を見せた若きミッドフィルダーはハーフタイムで退くこととなった。Marcaは重傷の可能性も報じており、離脱期間は今後の検査結果次第となる。

シメオネのベンチワーク──ハーフタイムから61分までの5枚替えが変えた試合の色

後半、シメオネは一気にギアを上げた。ハーフタイムでメンドーサに代えてマルコス・ジョレンテを投入。53分にはジュリアーノ・シメオネとルックマン、ティアゴ・アルマダを同時に下げ、フリアン・アルバレスアントワーヌ・グリーズマンニコラス・ゴンサレスを送り込む。そして61分、コケに代えてジョニー・カルドーソ。ハーフタイムから61分までの間に5枚の交代カードを切り、ピッチ上の顔ぶれを一新した。

交代によってアトレティコの攻撃は明らかに加速する。グリーズマンがカウンター時にドリブルでスピードを上げ、密集ではプレスからボールを逃がして循環を生み出す。カルドーソはコケより強度の高い守備でセカンドボールを拾い、ジョレンテは中盤右から効果的にボールを前進させた。前半から継続していたハイプレスがフレッシュな脚によってさらに鋭くなり、ソシエダはボールを持っても前に進めない時間が増えていく。

この試合のスタッツは、スコアの競り合いからは想像できない一方的な内容を映し出している。xG 2.29対0.41(FotMob)。トータルシュート24対7。枠内シュート9対3。ビッグチャンス7対0。コーナーキック8対1(いずれもESPN / FotMob)。ソシエダの2ゴールはいずれもxG合計0.41の中から生まれた個の質によるもので、アトレティコが試合全体を支配していたことに疑いの余地はない。今季、中位以下のチーム相手にも内容で圧倒できない試合が散見されてきたアトレティコにとって、これはスコアの上でも内容の上でもシーズン屈指のパフォーマンスだった。

67分、その支配がようやくスコアに反映される。N.ゴンサレスが自ら中央をドライブし、グリーズマンへ預ける。グリーズマンは右足のバックヒールでリターン──N.ゴンサレスが左足で冷静にレミーロの逆を突き、2-1。グリーズマンのリーグ戦今季初アシストだった。

ところがソシエダは再び即座に牙を剥いた。わずか約90秒後の68分、途中出場のミケル・オジャルサバルがペナルティエリア外からゴール上隅を撃ち抜く。オブラクは右手で触ったが弾ききれなかった。xG 0.41のチームが、個の力で2度目の同点弾をねじ込んだ瞬間だった。

しかしアトレティコの3度目のリードは覆らなかった。81分、コーナーキックの流れからハンツコの低いシュートをレミーロがセーブ。こぼれ球を拾ったマテオ・ルッジェーリがピンポイントのクロスを送り込み、N.ゴンサレスが最高到達点でヘディングを叩き込んだ。約6カ月ぶりのゴールを決めたばかりのアルゼンチン人が、わずか14分後にもう1つ──今度は決勝点を。

グリーズマンという推進力──484試合目の夜に

この日、試合前にひとつの大きなニュースがあった。アトレティコのマテウ・アレマニーSDがMovistarのインタビューで、グリーズマンの残留を明言したのだ。

「以前言ったことを繰り返す。彼は我々との契約がある、我々と続ける」 ── マテウ・アレマニー(Movistar / AFP)

MLSオーランド・シティへの移籍が取り沙汰されていたグリーズマンだが、アレマニーはさらに「今季とあと2年の契約がある。大きなニュースはないと思う」とも述べ(nhregister)、3月26日のプライマリー移籍ウィンドウ期限を前に今季中の移籍観測は大きく後退した。プレマッチレポートで触れた通り、コパ・デル・レイ決勝やチャンピオンズリーグを含む今季終盤の戦いも、彼の去就をめぐる文脈の一部になっているのかもしれない。シメオネは試合後、アレマニーの発言について問われ、こう答えた。

「こういうことは選手本人が直接話して説明するのが一番いい。我々は興奮しているし、家族として、人間として彼にとって最善を望んでいる。彼をとても愛している。彼が何かを言いたい時に自分で決めるだろう」 ── ディエゴ・シメオネ(試合後記者会見 / Into the Calderón)

そのグリーズマンは53分にルックマンに代わってピッチに立った。通算484試合目──トマス・レニョネスを抜いてクラブ歴代単独4位に浮上した一戦だ(アトレティコ公式)。

投入直後から、試合の推進力は明らかにグリーズマンを中心に回り始めた。カウンターではドリブルでスピードを高めてディフェンスラインの背後を脅かし、密集地帯ではワンタッチでプレスを外してボールの循環を加速させる。34歳にしてなお衰えないこの「攻守両面での潤滑剤」としての能力は、Into the Calderónの7.5、FotMobの7.4という高評価に表れている。

67分のバックヒールアシストは、この夜のグリーズマンの象徴だった。N.ゴンサレスからのパスを受けた瞬間、前を向くのではなく右足のヒールでリターン。N.ゴンサレスの走り込みを完璧に読んだ、創造性と信頼の結晶のようなプレーだった。シメオネは試合後、こう語った。

「グリーズマンのバックヒールは素晴らしかった。あれが違いを生む鍵になった。グリーズマンはdifference maker。我々にとって非常に重要な選手だ」 ── ディエゴ・シメオネ(試合後記者会見 / Into the Calderón)

古巣ソシエダを相手に、コパ決勝に向けた最高のリハーサルを披露した484試合目の夜。アトレティコ史上最多得点者の物語は、まだ閉じていない。

ソルロートとN.ゴンサレス──得点者たちの現在地

ソルロートの先制点は、この試合における彼の圧倒的な存在感の序章にすぎなかった。チーム最多の7シュート、xG 0.78、ボックス内タッチ11(いずれもFotMob)。数字だけではない。フルタイムを通じて丁寧にパスコースを切りながらプレスの先頭に立ち続けた姿勢が、この日のハイプレスの機能性を支えていた。前半からチーム全体のプレスが連動していたこの試合では、味方がついてこないことへの苛立ちを見せる場面もなく、ノルウェー人の守備への献身はチーム全体の士気と結びついていた。

「この状態の彼は、守備に参加し、背を向けてボールを保持し、ゴールを決めるという得意なことで決定的だ。ルックマン、フリアン、グリーズマンとは違う選手で、今日のような試合で非常に必要としている」 ── ディエゴ・シメオネ(試合後記者会見 / Into the Calderón)

リーグ戦10ゴール、全コンペティション16ゴール。2026年に入ってからの暦年成績は17試合11ゴールで、欧州5大リーグではハリー・ケイン(15ゴール)に次ぐ2位という驚異的なペースを維持している(FotMob)。

一方のN.ゴンサレスにとって、この日は長いトンネルの出口だった。12月の負傷以来、約6カ月ぶりのゴール。54分にアルマダに代わって投入された彼は、5バックの右サイドバックとして守備をこなしながらも、機を見てソシエダのペナルティエリア付近に顔を出し続けた。

最初の決定機は、アルバレスのお膳立てから至近距離で迎えたシュート。しかしこれを大きく枠の上に外してしまう。それでも数分後、自ら中央をドライブして仕掛け、グリーズマンのバックヒールを受けて冷静に流し込んだ。失敗の直後に自らの力で取り返す──そのメンタリティが、81分のパワフルなヘディングでの決勝点にもつながった。

「久しぶりの得点だったので、このスタジアムで、このファンの前で決められて嬉しい。チームの戦いぶりにも満足している。毎試合、自分たちが何を望み何ができるかを示している」 ── ニコラス・ゴンサレス(Movistar / AFP)

ユベントスからのレンタルで加入したN.ゴンサレスは、リーガ戦出場率に基づく買取義務条件を持つ契約であり(OneFootball / CalcioMercato)、今後の出場を積み重ねるほどアトレティコへの完全移籍が現実味を増す構造になっている。FotMob 9.0、Into the Calderón 8.5。文句なしのマン・オブ・ザ・マッチだった。

ピッチの端で、ピッチの上で

前半には、コケのコーナーキックがピッチ上にいた鳩に命中し一時プレーが止まる場面があった。ヒメネスが鳩をそっと両手で拾い上げてピッチ外へ運んだこの一幕はSNSで広く拡散されたが、この日のヒメネスの真の仕事はもちろん守備のほうにあった。

8クリアランス、6空中デュエル勝利、15本のファイナルサードへのパス。先制点のフリックオンアシストを含め、攻守両面でチームの軸として機能した。Into the Calderónが記した通り、「ヒメネスが先発したリーグ戦11試合でアトレティコは8勝」──彼の存在がチームの安定に直結している。

その安定を脅かすのが、メンドーサの負傷だ。パブロ・バリオスが筋肉系の負傷で離脱中の中盤にとって、メンドーサの長期離脱は痛い。CLトッテナム戦への出場は絶望的とみられ、コパ・デル・レイ決勝に間に合うかどうかという深刻さだ。シメオネは「できるだけ軽いことを願う。明日、レントゲン後に医師から報告がある」と述べるにとどめた。

試合後の声

「チームは我々が考えたとおりのゲームをした。とても満足している。(ソシエダの)2ゴールは素晴らしいゴールだったが、我々は相手の陣内でプレスをかけ、時間を奪い、相手にプレーさせず、多くのチャンスを作った。得点以上のチャンスがあった」 ── ディエゴ・シメオネ(試合後記者会見 / Into the Calderón)
「ニコにはとても満足している。長い間回復を試みてきた選手だ。加入以来、まるで一生このチームにいたかのように溶け込んでいる。12月に怪我をして以来、望むものを見つけられずにいた。この調子が続くことを願う。我々は彼の持つすべてを必要としている」 ── ディエゴ・シメオネ(Into the Calderón)
「良い気分ではない。負けるのは嫌いだし、パフォーマンスもベストではなかった。(コパ決勝までの)6週間で、違う選手がピッチに立つ。状況は変わるだろう」 ── ペジェグリーノ・マタラッツォ(AFP)

シメオネはコパ決勝との比較を問われると、「決勝とは比較しない」と一言で切った。当然だろう。両チームとも主力を温存した部分があり、6週間後のエスタディオ・デ・ラ・カルトゥハでの90分間(あるいは120分間)は、この日とはまったく異なるものになるはずだ。マタラッツォの「状況は変わる」という言葉には、敗戦の悔しさと同時に、6週間後への視線が窺えた。

アルバレスとジョレンテ──数字に表れなかった貢献

フリアン・アルバレスはこの日、得点にもアシストにも名前が残らなかった。しかしピッチ上で仕事をしていなかったわけではない。N.ゴンサレスへの至近距離でのお膳立て(結果は枠上に外れた)を含め、アシスト未遂と呼べる場面が複数あった。ドリブルでボールを失わず、狭いスペースでの循環にも貢献した。FotMobの6.7というレーティングは、一定の仕事量を反映している。

とはいえ、Into the Calderónが「ソルロートが前にいると快適でない」(ItC 3.5)と指摘したように、2トップの組み合わせとしての噛み合わせには課題が残る。ソルロートのポストプレーとアルバレスのライン間での受け方が有機的に結びつく場面はまだ限られており、コパ決勝に向けてシメオネがこの関係性をどう整理するかは注目に値する。彼の自信のためにも、何らかの数字がほしかった夜ではあったが、プレー内容自体は悪くなかった。

マルコス・ジョレンテは、ハーフタイムからメンドーサに代わって中盤に入った。63分にはソルロートへの決定的なスルーパスを通したが、ノルウェー人のシュートはゴール上に外れた。そして81分の決勝点──起点はジョレンテのディフレクションしたボールがボックス内に転がり込み、ルッジェーリのクロスからN.ゴンサレスのヘディングへとつながった(Into the Calderón)。

筆者としては、ジョレンテの中盤起用は右サイドバック時よりも提供できる価値が高いと感じる。ミドルシュートを抑えて枠内に飛ばす意識と能力、裏へのスルーパスでの崩し、そしてバリオスやメンドーサの不在時に中盤にもたらす安定感。Into the Calderónのレーティング6は控えめだが、数字に残らないところでこの日の勝利に確かに関わっていた。

第27節を終えて──順位表と前方の風景

この勝利でアトレティコは勝ち点54として3位を堅持し、4位ビジャレアル(51)に3ポイント差をつけた。首位バルセロナ(67)には13ポイント差、2位レアル・マドリード(63)には9ポイント差。リーグ優勝は現実的に厳しく、チャンピオンズリーグ出場権の確保とカップ戦に目線は移りつつある。

3日後の3月10日(火)には、CLラウンド16第1戦としてトッテナム・ホットスパーをメトロポリターノに迎える。1月にアトレティコからトッテナムへ移籍したコナー・ギャラガーとの再会戦でもある。メンドーサがバリオスに続いて離脱した中盤の構成が焦点となり、カルドーソとコケの併用、あるいはジョレンテの中盤継続起用がひとつの選択肢になるだろう。

ソシエダは8位(35)に踏みとどまった。マタラッツォの「状況は変わる」という言葉の通り、久保建英の復帰時期やオジャルサバルのコンディションなど、6週間後のコパ決勝に向けて変数は多い。この日は敗れたが、ソレルとオジャルサバルの2ゴールに見られた個の質は、決勝で十分に脅威になり得る。

シメオネは「決勝とは比較しない」と言った。確かにそうだろう。しかしこの日、アトレティコが見せたハイプレスの練度、ベンチの充実度、そして勝ちきる力は、4月18日のエスタディオ・デ・ラ・カルトゥハに向けた確かな手応えを残すものだった。

選手レーティング

先発メンバー

選手ItCFotMob寸評
オブラク45.52失点はいずれもxG合計0.41の中から生まれた個の質によるもの。オジャルサバルのシュートには右手で触ったが弾ききれず。
モリーナ5.57.3攻撃面での貢献は限定的だったが、守備ではデュエル6戦全勝、タックル5回中3回成功と堅実。
ヒメネス7.58.0先制点のフリックアシスト、8クリアランス、6空中デュエル勝利、15本のファイナルサードへのパス。鳩も救った。彼が先発したリーグ戦11試合で8勝。
ハンツコ47.0今季初のイエロー。オジャルサバルの同点弾の場面でボールを奪いきれず。FotMobとItCで大きく評価が分かれた。
ルッジェーリ77.9コーナーキッカーを務め、81分の決勝点では正確なクロスでN.ゴンサレスのヘディングを演出。近週のクロス精度が際立つ。
コケ5.57.73人中盤の底から効果的にオーケストレーション。ただしボールロスト10回。61分にカルドーソと交代。
メンドーサ56.6ルックマンへの決定的パスが微妙にずれる場面も。前半で右足首負傷退場。長期離脱の可能性。
アルマダ3.57.1前半終盤にコケへのショットアシストなど意欲は見せたが、判断の遅さやボールロストも目立った。
ジュリアーノ4.57.1先制点の起点となるロングスロー。50-50のボールを諦めない姿勢は光るが、ファーストタッチの精度に課題。スチッチのプレスを簡単に外されソレルの同点弾を許した。
ルックマン47.0ソシエダが背後のスペースを消した中で、足元でのプレーに終始。エンドプロダクトを欠いた。リーグ戦ではカップ戦ほどのインパクトを残せていない。
ソルロート88.0先制点に加え、チーム最多7シュート、xG 0.78、ボックス内タッチ11。フルタイムでプレスの先頭に立ち続けた。リーグ戦10ゴール目。

交代出場

選手ItCFotMob寸評
ジョレンテ66.546分〜(←メンドーサ)。63分にソルロートへの決定機演出。81分の決勝点の起点。中盤の安定に貢献。
アルバレス3.56.753分〜(←ジュリアーノ)。エリア外でのキャリーとドリブルで仕掛けたが、数字は残らず。N.ゴンサレスへのアシスト未遂あり。
グリーズマン7.57.453分〜(←ルックマン)。484試合目でクラブ歴代単独4位。右足バックヒールで今季リーグ初アシスト。推進力と循環力で試合の質を変えた。
N.ゴンサレス8.59.0★54分〜(←アルマダ)。約6カ月ぶりの復帰ゴールに続き決勝ヘディング。5バックの右SBもこなした。MoM。
カルドーソ56.461分〜(←コケ)。コケより強度の高い守備でセカンドボール回収。N.ゴンサレスの決勝点では2つ前のパス(hockey assist)を記録。

※ItCレーティングはInto the Calderón、FotMobレーティングはFotMob。★はFotMobのマン・オブ・ザ・マッチ。交代選手の寸評冒頭の「○分〜(←交代元)」は交代時間と交代元選手を示す。