33分で3点、9番はいなかった
ピスファンで3-1。4分にバエナ、26分にルックマン、33分にまたバエナが決めて、まだ前半のうちに0-3になった。アトレティコが前半に積んだ期待値は0.47で、そこから3点が出ている。保持率は68%だった。
90分の数字だけを見ると、両者の差はそれほど大きくない。シュートはセビージャの20本に対して12本、xGは0.90対0.93。違いが出たのは枠に飛んだシュートの質で、xGOTは0.68対1.24だった。
負傷のソルロートと、招集を外れたアルバレスを同時に欠いた状態で、アウェーで3点を取っている。プレビューでは、最前線に誰が立つのかは当日まで分からないと書いた。その答えが出ないまま3点が入ったのだから、この試合に限れば、気にする必要のない問いだったことになる。
9番の座は、その日ごとに空いている
バエナは偽9番としてスタートした。シメオネの試合後の説明はこうだ。「幸い今日は60分ほど非常に良い時間があった。トランジションのたびに、目まぐるしさと危険が生まれた。相手陣に入り込んで、2列目から飛び出す選手を見つけることができた。今日はあのポジションで普段プレーするソルロートもフリアンもいなかったからだ。センターフォワードがいないことは、攻撃しないという意味ではない」。
バエナ本人の言い方はもっと素っ気ない。「僕もジュリアーノもガンインもルックマンも、あのポジションでプレーできる。今日は僕の番だった」。誰が入るかは決まっていない。主力の2人を同時に欠いて、空いた席を毎試合違う選手が埋めている。中心が誰か分かりにくいのは、そういう理由だ。
この日の並びは媒体によって呼び方が違った。ASはバエナ、バリオス、イ・ガンイン、ヒュルマンドを「魔法の四角形」と呼び、Marcaは「センターバックにとっての基準点がひとりもいない4人」と書いた。FotMobとESPNの表記は4-4-2。いちばん具体的だったのは捕まえる側の言葉だ。ルイス・ガルシア・プラサは「前半は修正できず、それが罰になった。中盤のダイヤに驚かされて、バエナをうまく捕まえられなかった。給水タイムのあとは修正したが、バエナにゴラッソを決められた」と話している。修正しても止まらなかった、というのが相手から見た前半だった。
9番から離れて楽になったのはルックマンだ。26分、バリオスがイ・ガンインとのワンツーで中盤を破って送り、ボックス左で受けたルックマンがフアン・イグレシアスの足の間を抜いてニアへ流し込んだ。ASは彼を「9番から離れてはるかに幸せそうだ。背中ではなく正面から相手と向き合える」と評し、ニアを狙える技術があると書いている。前節はシュート1本、期待値0.02。この日は敵陣ボックス内で6回触って1点。9番を降りたぶん、触る場所が前ではなく中になった。
ただ、この形がそのまま続くとは思っていない。シメオネは、前から来るセビージャに対してトランジションで刺せたと話している。基準点を置かない攻撃が本当に試されるのは、引いて構える相手に当たったときだと見ている。
バエナが3試合で昨季の得点数を超えた
昨季のバエナは、リーグ戦で2得点3アシストだった。先発は21試合、シュートは29本のうち7本が枠に飛んでいる。今季はここまで3試合で3得点。出場時間の合計は163分で、昨季1年の得点数をもう超えた。
この日の1点目は、右へ流れたイ・ガンインがライン間へ差し込んだボールを、右の難しい角度からワンタッチで決めたもの。2点目は33分、ジョレンテからの短いパスを受けてボックスの外から低い弾道で沈めた。ASの言い方を借りれば、昨季のバエナは「動いてはいたが、ライン間で見つけてもらえなかった」選手だった。この日は2点とも、受けたところから自分で前を向いて打っている。
本人も監督も、変化の理由をワールドカップに置いた。バエナは「世界王者になれば誰だって自信は上がる。いいワールドカップができたし」と話し、シメオネは「優勝が彼の心と頭に与えた刺激と衝撃、そして毎試合出すという監督の信頼を、彼はプレーと働きで返してくれている」と言った。そのうえでシメオネはこう付け足している。「このレベルを維持することをこちらは要求する。それがいちばん難しい」。
後半に渡したのは陣地で、決定機ではない
後半はほとんど自陣にいた。保持率は68%から45%へ落ち、敵陣ボックス内のタッチはセビージャが5回から23回へ増えている。
それでも、後半の12本で枠を捉えたのは1本だけ、FotMobの集計でビッグチャンスは0回だった。66分の失点も、スアソのクロスをウレが合わせきれず、こぼれたところをシエラが左足のボレーで決めたものだ。
理由の説明は割れている。シメオネはMovistar+に対して「後半の20分あたりからエネルギーが切れていき、セビージャの押し上げでこちらが得点機会を持てなくなった」と話した。良かった時間を自分で「60分ほど」と区切っているのが正直なところだろう。ItCの見方はもう少し厳しく、後半のアトレティコは攻撃を遅らせていつもの守備的な殻に引きこもり、その代償を払ったと書いている。ルイス・ガルシア・プラサは55分にコチョラシビリとエフケを同時に入れ、そこから相手の押し上げが増えた。これも合わせて、筆者としては体力と姿勢の両方が同時に来たと考えるのが適切だと思う。
ハンツコは安定していた。クリア11本のうち8本がヘディングで、ファウルは0。90分で88回触り、ファイナルサードへ9本通している。跳ね返すだけでなく、そこから前へ付けられていた。派手に見える働きではないけれど、この日のように後ろで受け続ける展開だと、こういう選手がいるかどうかで最後の失点数が変わってくる。
グリマルドの守備が、いまは一番の課題だ
外の評価が揃って厳しかったのがグリマルドだ。ItCは5点をつけ、22分の不確実なクリアからキケ・サラスにボックス外のシュートを許したこと、給水前の軽率なロストからカウンターを受けたことを挙げた。ASは「今のところ後方でいちばん苦しんでいるのが彼だ」と書き、左に高いレベルのウイングを置く相手が来たときシメオネが5バックを使うかどうかという問いまで立てている。Marcaはシエラが決めた場面について、グリマルドが素知らぬ顔をしていたと書いた。
左サイドバックそのものは、彼にとって新しい位置ではない。2016年から2023年までのベンフィカでは、そこが持ち場だった。ただ、レバークーゼンでの3年は、背後に3バックを置く左ウイングバックとして数字を伸ばした。145試合で30得点に、40本を超えるアシスト。最後のシーズンには中央で使われることもあった。後ろに3枚いれば、彼が高い位置を取っても、左のCBが外へスライドして背後を埋めやすい。4バックはカバーに回れる枚数がそのぶん少ないので、自分で戻る負担が大きくなる。この日はタッチ数が66回あったのに、チャンス創出は0回、敵陣ボックス内のタッチは1回、クロス成功は0本だった。
攻撃で違いを作れることが彼の持ち味なのに、この日はその部分が出ないまま背後だけが空いた。求める順番で言えば攻撃が先だと、筆者は思っている。左で違いを作れるようになれば、背後のリスクはある程度飲み込める。
後半にアルナウを投入できるようになった
66分から入ったアルナウ・オルティスは、触った回数こそ7回だが、そのうちのクロス1本からバリオスが至近距離のヘディングまで持ち込んでいる。昨季は3部のプリメーラ・フェデラシオンで23得点を挙げて得点王になった選手で、第1節では先発して57分までプレーし、チャンス創出3回、クロス成功3本を残している。ASは「仕掛けるし、思い切る。突破を探し、チームを前へ伸ばす」と書いている。速さと1対1はリーガの相手にも通っていて、後半に彼を出せること自体が去年までなかった。
これで3試合を終えて勝点7、2勝1分。9月5日にサン・マメスでアスレティック戦、9日にはアンフィールドでチャンピオンズリーグのリーグフェーズ初戦が待つ。日程が決まっているのはここまでで、続くレアル・ソシエダ、オサスナ、レアル・マドリードの3試合は開催日がまだ確定していない。
7月に送り出した選手が、相手の左に立っていた
セビージャの左にはフリオ・ディアスが先発していた。13歳でラージョからアトレティコの下部組織に入り、今年2月28日のオビエド戦でトップチームデビューを果たし、7月末に2031年までの契約でセビージャへ移った21歳だ。アトレティコでのラ・リーガ出場は4試合で、記録した唯一のアシストは、ちょうどこのピスファンでの1-2の敗戦だった。この日は本職の左サイドバックではなく左の攻撃的な位置で55分までプレーし、交代してからもベンチで声を出し続けていた。
送り出したといっても、縁が切れたわけではない。ElDesmarqueによれば、セビージャが取得したのは保有権の50%で、固定100万ユーロに変動50万ユーロ。アトレティコは200万ユーロの買い戻しオプションを残している。こちらから見れば、悪くない残し方だ。
レーティング
先発
| 選手 | ItC | FotMob | 寸評 |
|---|---|---|---|
| オブラク | 6 | 7 | セーブ4本はいずれも前半。66分のシエラのシュートには触れたが、コースを変えきれなかった。 |
| ジョレンテ | 6 | 8.2 | 66分まで。3点目をアシストし、リカバリー6回。45+4分に警告。 |
| プビル | 5 | 6.9 | 90分。クロス対応に追われながらパス成功51本。90+5分に警告。 |
| ハンツコ | 6 | 7.6 | クリア11本のうち8本がヘディング。ファイナルサードへのパス9本、ファウル0。 |
| グリマルド | 5 | 6.7 | 90分。前へは出たがチャンス創出0、敵陣ボックス内のタッチは1回。22分のクリアがキケ・サラスのシュートにつながった。 |
| ジュリアーノ | 5 | 7 | 90分。右で守備の人数を担い、デュエルは21回中8回。仕掛けの回数は少なかった。 |
| バリオス | 8 | 8.1 | 90分。2点目をアシスト。タッチ92回、ファイナルサードへのパス12本。至近距離のヘディングは決まらなかった。 |
| ヒュルマンド | 7 | 7.5 | 85分まで。低い位置で守備アクション8回。エリア内の競り合いはVARが確認し、PKにはならなかった。 |
| ルックマン | 7 | 8.1 | 66分まで。26分に今季初得点。敵陣ボックス内で6回受け、ドリブル成功2回。 |
| イ・ガンイン | 8 | 8 | 72分まで。1点目をアシスト。ドリブル成功3回で右から起点を作った。 |
| バエナ | 8 | 9.1 | 85分まで。4分と33分に得点し、チャンス創出3回。期待値0.29から2点を挙げた。 |
交代出場
| 選手 | ItC | FotMob | 寸評 |
|---|---|---|---|
| ヒメネス | 4 | 6.5 | 66分から。交代直後にセビージャが1点を返し、以降はクロス対応に追われた。パスミスからカウンターを許す場面も。 |
| アルナウ・オルティス | 6 | 6.2 | 66分から。仕掛けからバリオスの決定機を演出。自身のシュートは枠を外れた。 |
| コケ | 5 | 5.9 | 72分から。18分で5タッチ。失点後の中盤を締めにかかった。 |
| カルドーソ | 5 | - | 85分から今季初出場。3本中2本のパスを通した。 |
| メンドーサ | 5 | - | 85分から。4タッチ、パス1本。 |
※ItCレーティングはInto the Calderón、FotMobレーティングはFotMobより引用。