バルセロナ
vs
アトレティコ

4-0が突きつけた問い──このセカンドレグに「試合」はあるか

2月12日、エスタディオ・メトロポリターノ。アトレティコ・マドリードはFCバルセロナを4-0で粉砕した。エリック・ガルシアのオウンゴール、グリーズマンルックマンフリアン・アルバレス──得点はすべて前半に生まれ、後半はシメオネが時間を管理するだけの展開だった。バルセロナが前半だけで4点以上のビハインドを負ったのは、1943年のコパ・デル・ヘネラリシモ(現コパ・デル・レイ)レアル・マドリード戦(前半8-0、最終スコア11-1)以来と報じられている。

数字だけを見れば、このセカンドレグはほぼ消化試合に映る。だが、この試合にはまだ複数の「問い」が残っている。

アトレティコにとって、これは2012-13シーズンのコパ・デル・レイ決勝(レアル・マドリード相手に延長2-1勝利)以来、約13年ぶりとなるコパ決勝への切符がかかった試合だ。今季のラ・リーガでは首位バルセロナと勝ち点差13の3位と、優勝争いからは距離がある。チャンピオンズリーグではプレーオフのファーストレグでクルブ・ブルージュに3-3と打ち合いになったが、セカンドレグでソルロートのハットトリックを含む4-1で快勝し、2戦合計7-4でラウンド16に進出した。一方で、リーグフェーズではアーセナルに0-4の大敗を喫するなど、守備の安定感を欠く試合も散見される。コパは今季最も現実的なタイトルへの道だ。シメオネ政権下でリーグとCLでは一定の成果を上げてきたアトレティコだが、コパ・デル・レイでは2013年以降決勝にすら進めていない。この渇望は、カンプ・ノウでのシメオネの采配に色濃く反映されるはずだ。

バルセロナにとっては、4ゴール差の逆転がほぼ不可能であることは誰もが理解している。だが、2017年のチャンピオンズリーグでPSGに6-1で勝利したあの夜が、このクラブのDNAに刻まれていることもまた事実だ。ただし、あの時の相手はウナイ・エメリのPSGであり、ディエゴ・シメオネのアトレティコではなかった。このセカンドレグでは、結果と同等に姿勢が求められるだろう。ファーストレグで4-0の屈辱を味わったフリック政権が、カンプ・ノウでどのような戦いを見せるのか。それ自体が、今後のシーズンに向けた試金石になる。

ファーストレグの解剖──セカンドレグに直結する3つの構造的要因

ファーストレグの全容についてはマッチレポートで詳報している。ここでは、セカンドレグの展開を予測する上で直結する3つの構造的要因に絞る。

第一に、フリックのハイラインとシメオネのカウンター設計の「噛み合わせ」だ。ファーストレグのアトレティコはボール保持率わずか34%で4-0という結果を叩き出した。Into the Calderónが「4-0のスコアで34%しかボールを保持しない勝利を実現できるのは、たった一人の監督が率いる、たった一つのクラブだけだ」と書いたように、これはチョリスモの教科書そのものだった。ルックマンとジュリアーノ・シメオネがハイラインの両翼からバルセロナの最終ラインの裏を何度も突き、グリーズマンが中央でリンクマンとしてカウンターの中継点を担った。セカンドレグではバルセロナがさらに前がかりになることが予想されるため、この構造は再び機能する可能性がある。

第二に、ペドリ・ラフィーニャ・ラシュフォードの不在がファーストレグに与えた影響の大きさだ。3人全員が負傷で欠場したことで、バルセロナのプレス強度は著しく低下し、前線でのボールキープ力も欠如した。これがアトレティコのカウンターを容易にした最大の要因の一つだった。The Athleticの報道によれば、一部の選手がフリックに対して「ラフィーニャとペドリの不在時にビッグマッチでハイライン戦術を高精度で実行するのは困難だ」という認識を伝えたという。このことは、ペドリとラフィーニャの存在がフリック戦術の実行可能性そのものを左右していることを示している。

第三に、エリック・ガルシアのオウンゴールという「偶発」と、その後の3ゴールという「設計」の区別だ。7分のオウンゴールは、エリック・ガルシアのバックパスをGKジョアン・ガルシアが目測を誤った不運なミスであり、アトレティコの戦術設計とは無関係の事故だった。だが、その後の14分グリーズマン、33分ルックマン、45+2分アルバレスの3得点は、いずれもカウンターからの明確な設計に基づくゴールだった。この「設計された3ゴール」こそが、セカンドレグでも再現されうる脅威の本質だ。

戦力比較──ファーストレグから「何が変わったか」

ファーストレグから約3週間。両チームの陣容には大きな変動がある。

バルセロナ──復帰組と離脱組

バルセロナ側の最大の変化は、ファーストレグで欠場していたラフィーニャ、ペドリ、マーカス・ラシュフォードの3人が全員復帰可能になったことだ。特にラフィーニャとペドリの復帰は、チームの質を根本的に変える。

ラフィーニャがピッチにいる試合のバルセロナの平均得点は2.82。不在時は2.33まで落ちる。この差は単なる得点力だけでなく、プレスの起点としての存在感、前線でのボールキープ力、そして攻守の切り替え時のインテンシティに直結している。ペドリの影響はさらに深い。2020年の加入以降、ペドリ不在時のバルセロナの勝率は42%まで低下するという長期統計がある。直近のビジャレアル戦(4-1勝利)では、ラミン・ヤマルがキャリア初のハットトリックを達成して攻撃陣が爆発したが、その起爆剤となったのが59分に途中出場したペドリだった。3点目のヤマルのゴールに直接アシストを記録し、4点目のレバンドフスキのゴールでも起点となるスルーパスを供給している。わずか30分の出場で試合の流れを決定づけた。

一方で、新たに3人の主力が欠場する。レバンドフスキはビジャレアル戦で左眼窩骨折を負い、バルセロナが公式に欠場を発表した。今季は全コンペティションで32試合14ゴールと、昨季の42ゴールからペースは落ちているが、ベテランの試合勘とポジショニングは代えがたい。フレンキー・デヨングは太もも裏(ハムストリング)の負傷で5〜6週間の離脱。そしてエリック・ガルシアはファーストレグ85分の退場処分による出場停止。ペドリとラフィーニャの復帰はプレス強度と創造性を劇的に回復させるが、これら3人の欠場は逆転を目指すチームにとって痛手だ。

アトレティコ──バリオスの穴とGK事情

アトレティコ側では、チームの要であるパブロ・バリオスが引き続き欠場する。2月上旬に太ももの筋肉を負傷し、復帰は3月上旬の見込みであるため、セカンドレグには間に合わない。バリオスの不在は中盤の構成力に影響を与えるが、ファーストレグではジョレンテがその穴を完璧に埋めた。9回のボール回収と3回のクリアを記録し、シメオネも「マルコスがバリオスの穴を非常によく埋めてくれた。あらゆるものを破壊してくれた」と評価している。セカンドレグでも同じ起用が予想される。

ニコ・ゴンサレスは2月15日のラージョ戦で太ももの筋肉を負傷して以降欠場していたが、2月28日に合流練習に復帰しており、ベンチ入りの可能性がある。

GKにはファーストレグに続きフアン・ムッソが起用される見込みだ。アトレティコでは今季、リーグ戦とCLは正GKのヤン・オブラクが、コパ・デル・レイはムッソが担当するという棲み分けが定着している。ファーストレグでムッソはFotMob最高レーティング8.7を記録する好パフォーマンスを見せており、Into the Calderónも「ムッソがオブラクの代役として懸念を払拭した」と評価した。

シメオネの設計図──カンプ・ノウで4-0のリードをどう「運用」するか

オビエド戦後の記者会見。「ビジャレアル戦(バルセロナの直近戦)は見ましたか?」と問われたシメオネは一言、「いいえ」と答えた。「火曜日の準備は?」には「今は考えていない。月曜日に話す」。これは意図的に情報を遮断するシメオネらしい振る舞いだ。だが別の場面では「4ゴールは大きなアドバンテージだ。しかし何も終わっていない」とも語っている。この二面性──目の前の試合に集中する「Partido a partido」の哲学と、先を見据えた警戒心──がシメオネのマネジメントの本質だ。

筆者は、シメオネが完全に守備ブロックを敷いて90分間ひたすら時間を殺す旧来の「塩漬け」戦術を採ることはないと見ている。近年のシメオネはポゼッションの意識も高まっており、コパ準決勝という大一番で消極的に映るアプローチは選ばないだろう。普段通りのコンパクトな守備ブロックからカウンターを狙うスタンスで入り、少ないチャンスを確実に仕留めてアウェイゴールで試合を決定づける──そういう設計で臨むと予想する。

保持率はバルセロナが70%程度になると見ている。アトレティコはカウンター主体の戦いになるが、バルセロナが4-0のビハインドを追って通常以上にハイラインを押し上げてくることを考えれば、裏のスペースはファーストレグ以上に生まれるはずだ。その数少ない好機を前線がどれだけ決定力を持って仕留められるかが、試合の行方を左右する。

予想スタメン:アトレティコ・マドリード(4-4-2)

FW:アントワーヌ・グリーズマン、アレクサンダー・ソルロート
MF:アデモラ・ルックマン、ジョニー・カルドソ、マルコス・ジョレンテ、ジュリアーノ・シメオネ
DF:ルッジェーリハンツコプビルナウエル・モリーナ
GK:フアン・ムッソ

この配置には3つの狙いがある。

第1の狙いはカウンターのスピードだ。両翼のルックマン(左)とジュリアーノ(右)がバルセロナのディフェンスラインの裏を突く。ファーストレグでも機能したこの武器は、相手がさらに前がかりになるセカンドレグではより大きな脅威になる。右サイドバックのモリーナはロングフィードの精度に定評があり、前線への正確なボール供給でカウンターの起点となる。

第2の狙いはボール保持とテンポ管理だ。グリーズマンがフォルス9的な位置に入り、ワンタッチプレーで中盤と前線をつなぐ。カウンター移行時のボールロスを減らし、攻撃のテンポをコントロールする役割を担う。

第3の狙いはバルセロナのハイプレスへの回答だ。ソルロートの高さとポストプレーがここで活きる。アトレティコは今季、自陣でのハイプレスに苦しむ場面が少なくなかった。ソルロートを中央のターゲットマンとして置くことで、GKやDFラインからのロングボールの起点を作り、プレスを無効化する。直近のCLプレーオフ・ブルージュ戦セカンドレグではハットトリックを記録しており、コンディションも上向きだ。

中盤ではカルドソとジョレンテのダブルピボットが守備の強度を担保する。ジョレンテは圧倒的なハードワークでバルセロナの中盤支配に対抗し、カルドソは守備面での強度を提供する。

フリアン・アルバレスは後半途中からの投入が予想される。直近のオビエド戦で90+4分の決勝ゴールを決めるなど、少しずつ自信を取り戻しつつある。バルセロナが後半さらに前がかりになり、守備陣に疲労が蓄積した時間帯に投入することで、ハードなチェイシングと裏抜けのスピードで値千金のゴールを狙う「クローザー」としての役割が期待される。

「レモンターダ」の可能性を冷静に検証する

バルセロナの逆転可能性を、データと歴史から冷静に検証する。

まず、歴史的事実として、シメオネが2011年にアトレティコの監督に就任して以来、バルセロナがアトレティコに4ゴール差以上で勝利した試合は一度もない。近年の対戦における最大得点差勝利は2024年3月のラ・リーガ、メトロポリターノでの3-0だ。シメオネのアトレティコに対して4点差をつけること自体が未踏の領域であり、それをアグリゲートスコアの逆転という形で、つまり5ゴール以上を挙げて達成するのは、さらに高い壁となる。

次に、「シメオネ=鉄壁の守備」というイメージについて。確かにラ・リーガではリーグ最少級の失点数を記録しており、守備の堅さは依然としてアトレティコのアイデンティティだ。しかし、今季のチャンピオンズリーグでは10試合で19失点(1試合平均1.9)と守備が安定しない試合が多く、セットプレーからの被弾はクラブ自身のCL1大会最多記録となる8失点に達している。アーセナルに0-4、ブルージュに3-3、ボド/グリムトにホームで1-2と、守備が機能不全に陥る試合がシーズンを通じて繰り返し発生してきた。「シメオネの守備が絶対的だ」という前提は、今季に関しては留保が必要だ。これはバルセロナにとっての希望の材料であり、プレスの強度が劇的に回復したペドリ・ラフィーニャ復帰後のバルセロナが、このアトレティコの守備に穴を開ける可能性は十分にある。

バルセロナ側のポジティブ材料も少なくない。今季のカンプ・ノウでのラ・リーガ戦績は13勝0分0敗。ホームでは無敗であり、一度も引き分けすらしていない。ペドリとラフィーニャが揃った状態でのバルセロナは、ファーストレグとは別のチームと言っても過言ではない。

だが、逆転の算数は冷酷だ。バルセロナは合計スコアで5点以上を奪う必要がある。仮に3-0まで持っていったとしても、アトレティコが1点取った瞬間にバルセロナの必要得点は合計6点に跳ね上がる。カウンター1発で突破の可能性が大きく遠のくのだ。ジュリアーノのスプリント、ソルロートのフィニッシュ、モリーナのロングフィード──このうちどれか一つがカンプ・ノウで機能するだけで、バルセロナにとっての逆転シナリオは一気に非現実的なものになる。

結論として、バルセロナがカンプ・ノウで誇りある戦いを見せる可能性は十分にある。ペドリとラフィーニャの復帰により、ファーストレグとはまったく異なる強度の試合になるだろう。しかし、合計スコアの逆転は現実的には非常に高いハードルだ。バルセロナが「いい試合」をすればするほど、つまり前がかりになればなるほど、シメオネのカウンターが牙を剥く──この逆説こそが、4-0というスコアラインがアトレティコに与えた最大の贈り物だ。

注目ポイントとキックオフ情報

キックオフ: CET 3月3日(火)21:00/日本時間 3月4日(水)5:00/ET 3月3日(火)15:00
会場: スポティファイ・カンプ・ノウ(バルセロナ)

注目マッチアップ──ラフィーニャ vs モリーナ/プビル:ファーストレグ不在だったラフィーニャが復帰し、アトレティコの右サイドにどれだけ脅威を与えるか。モリーナの攻撃参加とのバランスも鍵になる。ペドリ vs ジョレンテ:バルセロナの中盤支配の核であるペドリを、万能戦士ジョレンテがどう抑えるか。この対決がゲームのテンポを決める。

試合後はマッチレポートをお届けします。シメオネの「Partido a partido」──この問いの答えは、カンプ・ノウのピッチで明らかになる。