コパ決勝から4日──ローテーションの一戦
レアル・ソシエダとの延長120分、そしてPK敗退。コパ・デル・レイ決勝からわずか4日、アトレティコ・マドリードはエスタディオ・マルティネス・バレロに乗り込んだ。来週に控えるチャンピオンズリーグ準決勝アーセナル戦を見据え、シメオネはスタメン10人を入れ替えた。コパ決勝から残ったのはロビン・ル・ノルマンだけだった。
フリアン・アルバレス、コケ、マルコス・ジョレンテ、マッテオ・ルッジェーリはCL準決勝に向けた疲労管理の色が濃い招集外。アレクサンダー・ソルロート、アデモラ・ルックマン、ダビド・ハンツコ、ホセ・マリア・ヒメネスは負傷・回復途上で離脱中だった。ヤン・オブラクが約6週間ぶりに先発復帰し、アトレティコ・マドリレーニョ出身のハビエル・ボニャールとフリオ・ディアスが最終ラインに名を連ねた。オベド・バルガスが左インサイドハーフ、ロドリゴ・メンドーサが古巣エルチェ相手に先発を任された。
CL準決勝を強く意識したローテーションの一戦で、3-2の敗戦。ラ・リーガ4連敗。直近8試合では90分間での敗戦が6度を数え、黒星の重なりは無視できない水準に達している。コパ決勝までは、最も重要な試合に照準を合わせるためのローテーション戦略が機能しているように見えた。だが、これだけ黒星が重なると、勝利の感覚そのものがチームから遠ざかっていないかという不安が頭をもたげ始める。
先制の鮮やかさ、そして同点弾
開始2分、エルチェのラファ・ミルにビッグチャンスが訪れ、ジョニー・カルドーソが対応に遅れる場面があった。だが10分、ニコ・ゴンサレスが自陣からボールを運び始める。右サイドで加速し、ロドリゴ・メンドーサとワンツー。メンドーサがしなやかなバックヒールで返すと、ニコは左足を振り抜いた。シュートがディトゥーロの脇を抜けてネットに収まった。
だが、リードは8分で消える。18分、エルチェのコーナーからテテ・モレンテがヘッドでつなぎ、セカンドボールをダビド・アフェングルーバーが突いた。オブラクの反応が遅れ、1-1。復帰戦のオブラクには厳しい場面だった。
アルマダの退場──PA内で失うことの代償
30分、試合を決定づける場面が訪れる。ティアゴ・アルマダが自陣ペナルティエリア内でボールを保持していた。アフェングルーバーのプレスを受け、ボールを失う。そして、ゴールに向かおうとするアフェングルーバーの体をつかんで引き倒した。
主審ギジェルモ・クアドラ・フェルナンデスの判定は、PK、そして一発退場。いわゆる「DOGSO」(決定的な得点機会の阻止)である。IFABの競技規則では、自陣PA内のDOGSOであっても「ボールにプレーしようとした反則」ならPK+警告に緩和される余地がある。だが、アルマダの行為はボールへのチャレンジではなく、相手選手へのホールディング。緩和の対象外だった。
PA内でボールを保持してプレスをかいくぐれれば、相手の陣形が崩れカウンターの起点になる。だが、失った瞬間に取り返しのつかない事態を招くエリアでもある。失うことが許されない場所で失い、取り返そうとした手段がファウルだった。個人の状況判断として重く受け止めるべき失点であり、二度と繰り返してはならない。
33分、アンドレ・シルバがPKを冷静に沈めて2-1。エルチェが逆転する。
ニコ・ゴンサレスの2点目──キックオフ直後のゴラッソ
スコアが動いたのはわずか1分後だった。キックオフ直後、ニコ・ゴンサレスが右サイドへ走る。自らヘディングでボールを浮かせ、ディトゥーロの頭上をふわりと越えるタッチで抜き、さらに落下点に走り込んでヘッドでゴールに押し込んだ。アフェングルーバーがライン上でクリアを試みたが、ボールはすでにラインを割っていた。VAR確認を経て、ゴール認定。2-2。
ラ・リーガ直近5試合で2度目の2得点試合。それ以前のヨーロッパ5大リーグ通算177試合では1度しかなかった。この試合では右サイド起用がニコの個を引き出した形で、来季の起用法を考えるうえでも示唆のある内容だった。
前半はここで終わらなかった。45+4分、エルチェのサンガレとフェバスにイエローカード。アトレティコ側もラングレが36分、フリオ・ディアスが38分に警告を受けており、前半だけで4枚のカードが飛んだ。アディショナルタイムは6分。荒れた45分間にふさわしい数字だった。
10人の後半──xG 2.67 vs 1.01の構造
後半開始とともにシメオネが動く。ル・ノルマンに代えてナウエル・モリーナ、フリオ・ディアスに代えてマルク・プビルを投入し、守備の強度を上げにかかった。
後半早々、アレックス・バエナのシュートがネットを揺らしたが、オフサイドで取り消し。10人のアトレティコは、しばらくエルチェをうまく抑えていた。
62分、シメオネは3枚替えを敢行する。バルガスに代えてパブロ・バリオス、メンドーサに代えてアントワーヌ・グリーズマン、バエナに代えてジュリアーノ・シメオネ。
だが、エルチェの圧力は容赦がなかった。保持率72対28。シュート14対6。ビッグチャンス7対2。コーナー13対3。敵陣PA内でのタッチ数は29対8。10人で60分以上を戦ったアトレティコの守備は36回のクリアランスを記録し、耐え続けたが、構造的な劣勢は数字に如実に表れている。xGはエルチェ2.67に対しアトレティコ1.01。
75分、CKの二次攻撃からアフェングルーバーの折り返しをアンドレ・シルバが右足で押し込み、3-2。セットプレーからの失点が、この試合2度目となった。シルバにとっては、セビージャ時代の2018年9月以来となるラ・リーガでの2得点試合。降格争いの大一番で、その勝負強さが発揮された。
後半のアトレティコは枠内シュートわずか1本。終盤にはグリーズマンがディトゥーロに好セーブを強いるシュートを放ち、続く88分にバリオスがロングシュートをクロスバーの上に放ったが、同点弾は遠かった。
復帰組と若手──それぞれの現在地
オブラクとバリオスの復帰は、結果を超えた意味を持つ。
オブラクは約6週間ぶりの先発だった。3失点を喫し、本来の安定感が戻ったとは言い切れない内容だったが、試合勘を取り戻すにはピッチに立つしかない。ムッソとの正GK争いが続く中、次節アスレティック・クルブ戦が一つの試金石になる。
バリオスについて、シメオネは試合後にこう語った。「大事なのは、彼がまたサッカー選手としての感覚を取り戻すこと。長い間離れていた。戻ってきて、良くなっている。この試合から得られた数少ないポジティブなことの一つだ」。3月10日のトッテナム戦で21分間プレーした後に再び筋肉のトラブルに見舞われていたバリオスは、62分からの投入で88分にロングシュートを放つなど、コンディションの上積みを感じさせた。CL準決勝までに実戦感覚を戻せるかが焦点になる。
ロドリゴ・メンドーサは古巣相手に先発し、10分のニコへのバックヒールアシストで2月の移籍後初のゴール関与を記録した。あのワンタッチには、彼のしなやかな技術が凝縮されていた。筆者としては、メンドーサの潜在能力には期待を抱いている。ただ、個人デュエル9戦全敗という数字が示す通り、荒削りさは否めない。シメオネも「成長の余地がたくさんあり、向上心がある。人格、激しさ、クオリティを持っている」と評した。精度の高いプレーを安定して続けられるか、壊れない選手であることをこの先も証明し続けられるか。それが問われる。
オベド・バルガスは左インサイドハーフで地上戦5勝/6回、前半パス成功率100%(8本中8本)と堅実な数字を残した。守備での強度、ボール保持時の落ち着き。シメオネが求める要素を確実に備えている。
ボニャールはアトレティコ・マドリレーニョから昇格してリーガ2試合連続のスタメンを務めた。かつてアトレティコの下部組織に在籍し、エルチェに移籍したヘルマン・バレラのクロスとドリブルに守備面で手を焼いたが、前方へのパス供給では積極的な姿勢を見せた。フリオ・ディアスもリーガ3試合目のスタメンで、ラングレの不十分なカバーもあり苦しい展開を強いられた。
彼らにとって最も重要なのは、トップチームでピッチに立つ経験そのものだ。2022-23シーズン後半、当時まだ無名だったバリオスがシーズン終盤の出場機会を足がかりに翌シーズンからの主力定着につなげた前例がある。ボニャールもディアスもすでに複数試合に出場しており、デビューだけで終わってはいない。ここからが本当の勝負だ。出場を重ねるたびに何を示せるか。本命となるCLでの出番を見込むことは難しいが、リーガの残り試合が彼らの成長にとって貴重な場になる。
残り試合と、その先
4位、勝ち点57。3位ビジャレアルとは4ポイント差、5位ベティスとは8ポイント差。CL圏争いではなお優位に立つが、この調子で黒星が続けばベティスの追い上げも現実味を帯びてくる。CL準決勝が残っている間は、チーム運営の重心がアーセナル戦に移っていることも明らかだ。
エルチェはこの勝利で勝ち点35に到達し、降格圏外に浮上した。降格争いの渦中にいるチームの、必死さが詰まった勝利だった。
シメオネは試合後、責任を一身に背負った。「チーム全員が最善を尽くしたが、勝つことはできなかった。その責任はすべて私にある」。そして「明日からやり直さなければならない。土曜日にはまたリーグで戦う」と続けた。
土曜のアスレティック・クルブ戦、そしてCL準決勝第1戦。オブラクとムッソの選択、バリオスのコンディション。判断すべきことは多い。敗戦の中にも、ニコ・ゴンサレスが右サイドで見せた得点力、バルガスの堅実さ、メンドーサの一瞬のひらめきと、来季を見据えた材料はあった。
選手レーティング
| 選手 | ItC | FotMob | 寸評 |
|---|---|---|---|
| ヤン・オブラク | 2 | 6.6 | 約6週間ぶりの復帰戦。18分の同点弾で反応が遅れ、PKは方向を読み違え、75分の決勝点も防げず。安定感が戻るには時間が要る |
| ハビエル・ボニャール | 5 | 5.9 | リーガ2戦連続先発。バレラのクロスとドリブルに苦しんだが、前方へのパスでは積極性を見せた |
| ロビン・ル・ノルマン | 5.5 | 7.1 | コパ決勝から唯一の連続先発。ニコの2-2ゴールにつながるロングボールでアシストを記録。46分にモリーナと交代 |
| クレマン・ラングレ | — | 6.7 | 前半の守備は壊滅的。36分に異議で警告。後半は11クリアランスを記録したが、前半の損害は大きい |
| フリオ・ディアス | 3.5 | 6.4 | リーガ3試合目の先発。ラングレのカバー不足もあり守備面で苦戦。38分に警告。46分にプビルと交代 |
| ジョニー・カルドーソ | 4 | 6.1 | 約1か月ぶりの先発。開始2分のミルのチャンスで対応が遅れ、ピボットとしてのボール保持にも安定感を欠いた |
| オベド・バルガス | 7 | 6.8 | 地上戦5/6勝利、前半パス成功率100%。堅実かつ積極的。62分にバリオスと交代 |
| ニコ・ゴンサレス | 7.5 | 8.8 | 10分に左足で先制、34分にゴラッソで2点目。右サイド起用で2得点。ただし後半、75分の失点シーンでヘディングの競り合いに負けた |
| ロドリゴ・メンドーサ | 5.5 | 6.2 | 古巣相手に先発。10分のバックヒールアシストは移籍後初のゴール関与。デュエル9戦全敗が示す課題も残る |
| ティアゴ・アルマダ | — | 4.6 | 30分、PA内でボールを失いアフェングルーバーを引き倒して一発退場。ボールへのチャレンジではなかったため三重罰緩和の対象外 |
| アレックス・バエナ | 2.5 | 6.3 | パス成功6/10。後半にオフサイドでゴール取消。存在感を示せないまま62分に交代 |
交代選手
| 選手 | ItC | FotMob | 寸評 |
|---|---|---|---|
| ナウエル・モリーナ | 4.5 | 6.1 | 46分〜(←ル・ノルマン)。トランジションでの推進力はあったが、低いブロックの中でボニャールのカバーに不安が残った |
| マルク・プビル | 6 | 6.5 | 46分〜(←ディアス)。デュエル3/5勝利、クリアランス3回。ファウルゼロ。堅実なパフォーマンス |
| アントワーヌ・グリーズマン | 6 | 6.4 | 62分〜(←メンドーサ)。投入後は攻撃を牽引。終盤にディトゥーロに好セーブを強いた |
| ジュリアーノ・シメオネ | 3 | 6.2 | 62分〜(←バエナ)。モリーナのクロスをバックポストで合わせきれず、同点の好機を逃した |
| パブロ・バリオス | 5 | 6.8 | 62分〜(←バルガス)。3月10日以来の実戦復帰。フィットネスは良好で、88分のロングシュートにその感触が表れていた |
※ItCレーティングはInto the Calderón、FotMobレーティングはFotMobによる。ラングレとアルマダのItCレーティングは「—」(採点対象外として掲載)。