10人になる前から押されていた

ホームで2-2。スコアだけ見れば競った試合に見えるが、中身は違った。ビジャレアルはPKの2本を除いても2.02のxGを積んでいる。アトレティコは0.78。FotMobの集計で、ビジャレアルが作った決定機は6回。うち2回はPKで、流れの中で作った4回はすべて外している。アトレティコは0回だった。

押し上げたのは10人になってからの時間ではない。ビジャレアルのPK以外のxG 2.02のうち、4分の3以上が76分の退場より前に生まれている。前半のうちに、36分ミカウタゼが0.56、45分アヨセ・ペレスが0.41の機会を迎えていた。アヨセのシュートを止めたのがオブラクだ。11人で守っていた時間から、すでに押されていた。

先制したのはこちらで、退場者も出さずに運べていればと考えたくなる気持ちはある。それでも、この勝ち点1は拾ったものだと思っている。

打ったのは、ほとんどボックスの外だった

アトレティコのシュートは19本で、マラガ戦の15本より多い。ところが期待値のほうは、0.92から0.78へ下がっている。19本のうち13本はボックスの外からで、枠に飛んだのは4本だけだった。マラガ戦はボックス内が8本で外が7本だったから、比率がひっくり返っている。この試合でアトレティコが放ったシュートで最も期待値が高かったのは、53分のジュリアーノ・シメオネの0.10。次が0.08、3番目がプビルの決めた0.06で、残る16本はそれより低い。

保持率は52%で上回りながら、敵陣ボックス内のタッチ数は34対37で下回った。持っている時間が、危険な場所に入る回数へ変わっていない。ビジャレアルはクリアを20本以上積み上げ、中へ入れさせない守り方を最後まで崩さなかった。

イ・ガンインは6本を放ち、チーム最多だった。枠を外した本数も多いが、打つ判断そのものは悪くないと見ている。繋いで決定的になる形ではなかったし、シュートがコーナーに変わった場面も複数あった。エリアの中でボールを持ったとき、打たずにジュリアーノ・シメオネへ預ける選択も見せていて、やみくもに振っているわけではない。

問題は最前線だ。ルックマンは79分プレーしてシュート1本、期待値は0.02だった。シメオネは試合後の会見で彼に謝罪している。「ルックマンには謝りたい。ここが彼の本来の場所ではないと分かっている。ソルロートが負傷し、フリアンがまだ状態を戻している最中だから、助けてもらうしかなかった」。同じ日には「タイトルを獲るにはFWが要る」とも話している。

ソルロートとアルバレスが万全なら、最前線の人数は足りているはずだ。ソルロートを負傷で欠き、アルバレスも復調の途中でしかない今は、確かに足りていない。

失点はどちらもPKだった

ミカウタゼがエリアに入ってシュートに行こうとしたところを、ル・ノルマンが後ろから押して倒した。VARの介入を挟んで、エルナンデス・エルナンデス主審が76分にPKと一発退場を示している。見た瞬間は驚いたが、あとでルールを確認して納得した。

エリア内の反則には警告へ軽減される規定があるが、それはボールを奪いにいった動作である場合に限られる。ボールにアプローチせず、押して倒したと判断されれば軽減は働かない。実際そうも見えるので、判定そのものに文句を言う余地はない。引っかかりが残ったのは、似た接触で退場になる場面をこれまであまり見てこなかったからだろう。

1本目のPKは、ヒュルマンドがブキャナンとの競り合いで与えたものだ。ジェラール・モレノが66分に決めている。この判定についてはItCも「疑わしい」と書いており、現地の見方も割れている。彼はこの日、中盤の低い位置から前へ安定して配球していた。あの場面では珍しくボールを失い、そのままPAの中まで追ってプレスを続けたのが裏目に出ている。

オブラクのセービングは今回も驚異的だった。前半終了間際にアヨセの0.41、10人になったあとの89分にブキャナンの0.43。PKだけは別で、この日は2本とも止められなかった。タイミングをずらされると先に動いてしまう。適切な対策をしてきた相手にここを突かれて、ノックアウトステージで敗退しないかが心配だ。

プビルの一発と、バエナのスルーパス

先制点は、崩して作ったものではない。

59分、プビルがボックスの外から左足を振り抜き、ゴール左上へ決めている。美しいゴールだった。ItCはプビルに8をつけ、チーム最高評価にしている。得点の7分後、アルバレスとの交代で退いた。

85分の同点弾は、バエナのスルーパス1本で最終ラインの背後を取ったものだ。右で受けたジュリアーノが左下へ流し込んだ。パスを出したバエナは、第1節のマラガ戦で直接FKを決めており、2試合続けて得点に絡んだことになる。「W杯のおかげで、去年の自分が失っていた自信を取り戻せた」と本人が話していた選手だ。今季のカギになってほしい。

アルバレスに要るのは、本人の言葉だ

アルバレスの姿がベンチで大型ビジョンに映った時点から、口笛が鳴っていた。66分に入ってからは、ボールに触れるたびに同じ音が起きる。シュートはブロックされた1本のみで、ItCは5をつけている。

試合後、選手たちが中央に集まってサポーターへ挨拶する場面に、彼はいなかった。彼は一人でロッカーへ向かっている。この点についてシメオネは会見でこう説明した。「彼が仲間と一緒にファンへ挨拶しに行かないことは、クラブが決めた」。心境を問われると「私は助言をする立場にない。自分の仕事、つまり競技面でアトレティコに最善を尽くすことに集中しなければならない」と答え、「フリアンについての質問すべてに答えるつもりはない」と打ち切っている。

アルバレスの表情は想像以上に暗かった。心配になった、というのが正直なところだ。プレーする意欲が低かったとは見ていない。ただ、意欲があればすぐ結果が出るわけでもないだろう。得点を重ねていけばスタンドの空気は変わるかもしれないが、そこまでには相当な時間がかかる。その間ずっと口笛を浴びながらプレーを続けられるのかは、疑わしいと思っている。

今季このクラブでプレーするつもりがあるなら、順番として本人の言葉が先に要る。謝罪と、ここでやるという意思を、自分の口から出す。お互いのために、そのほうがいいと思う。

次はセビージャ、ル・ノルマンを欠く

アトレティコは1勝1分の勝ち点4で3位につけている。首位はセビージャの6、2位はアラベスが同じ4。ビジャレアルは2試合とも引き分けて勝ち点2の9位だ。もっとも、今季は開幕から日程が分散していて、消化試合数が揃っていない。バルセロナ、レアル・マドリー、ベティスはまだ1試合しか終えておらず、勝ち点3で控えている。順位はまだ暫定でしかないが、開幕2試合を負けずに終えたこと自体は悪くない。

次は8月29日土曜、そのセビージャとのアウェイだ。ル・ノルマンは異議申し立てが認められない限り出場停止になる。CBはハンツコを軸に、ヒメネス、プビル、ロメロあたりが試されるだろう。移籍市場も最終週に入る。シメオネは会見で「もらったものが何であれ、うまくいくようにする」と話しており、補強について自分から踏み込むことはなかった。

開幕2試合で挙げた4得点のうち、流れの中でエリア内から決まったのは、85分のジュリアーノの1点だけだ。セビージャ相手に、その2点目が出るかどうか。

レーティング

先発

選手ItCFotMob寸評
オブラク67.6セーブ4本。PK2本はいずれも止められなかった。
プビル87.859分に先制点。序盤にミカウタゼの0.29をブロックしている。66分に交代。
ル・ノルマン45.776分に一発退場。それまでの75分は破綻なく守れていた。
ハンツコ77.5左側を守備で受け持ち、90分を通してポジションを崩さなかった。
グリマルド67.8フル出場。序盤にボックス外から枠内シュート1本。
コケ7.5866分まで。3度ファウルで止められている。中盤の底で失わなかった。
ヒュルマンド67.9低い位置からの配球は安定。66分のPKは彼の競り合いから。警告は76分。
メンドーサ6.56.7ライン間で受ける動きは良かったが、前半で交代。シュート2本。
ジュリアーノ・シメオネ6.58.785分に同点弾、59分にアシスト。シュート4本。FotMobのMOM。
イ・ガンイン77.3シュートはチーム最多の6本、枠内は0本。66分に交代。
ルックマン66.9本職ではない最前線で79分。シュート1本、3度ファウルで止められた。

交代出場

選手ItCFotMob寸評
バエナ76.846分〜(←メンドーサ)。85分にアシスト。オフサイド1回、警告1枚。
ジョレンテ56.566分〜(←コケ)。シュート1本、ファウル2回。
バリオス66.666分〜(←イ・ガンイン)。シュートなし。ファウルで1度止められた。
アルバレス56.166分〜(←プビル)。今季初出場。シュート1本はブロックされた。
ヒメネス-6.179分〜(←ルックマン)。10人での終盤を最終ラインで、警告1枚。

※ItCレーティングはInto the Calderón、FotMobレーティングはFotMobより引用。