アトレティコ
vs
バルセロナ

11日間の幕開け

4月4日から14日までの11日間で、アトレティコ・マドリードとバルセロナは3度対戦する。ラ・リーガ第30節(4月4日、メトロポリターノ)、UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝第1戦(4月8日、カンプ・ノウ)、そしてCL準々決勝第2戦(4月14日、メトロポリターノ)。その幕開けが、この土曜日になる。

バルセロナは首位・勝ち点73。2位レアル・マドリードとの差は4ptで、リーグタイトルに最も近い位置にいる。アトレティコは4位・57pt。5位ベティスとは13pt差があり、トップ4によるCL出場権はほぼ手中にある。3位ビジャレアルとの差は1ptにすぎないが、それ以上に視線が向いているのは4日後のカンプ・ノウだろう。

今季の直接対決はすでに3回を数える。90分の結果ではバルセロナの2勝1敗だが、2戦合計のコパ・デル・レイ準決勝ではアトレティコがメトロポリターノでの4-0を盾に、合計4-3で決勝進出を果たした。ホームでの圧勝が帳尻を合わせた格好になる。4度目の対戦は、再びそのメトロポリターノで行われる。

グリーズマンの最後のCLと、このシーズンの重み

3月下旬、アントワーヌ・グリーズマンの7月付けでのオーランド・シティ移籍が正式に発表された。アトレティコ通算488試合211ゴール。クラブ史上最多得点者としての記録を残したまま、欧州の舞台を去る。今季のCLが、グリーズマンにとって最後のチャンピオンズリーグになる。

コパ・デル・レイ決勝(4月18日、対レアル・ソシエダ)も控えている。CLとコパの二冠という現実的なタイトルチャンスが残されている以上、チームとファンの集中度は自ずと高まる。グリーズマンを送り出すにふさわしいシーズンにするには、まずこの11日間を乗り越えなければならない。

その文脈を踏まえれば、このリーグ戦の位置づけは限定的なものになる。3位ビジャレアルとは1pt差だが、CL準々決勝の4日前にフルメンバーを投入するリスクのほうが大きい。最大の目標はカンプ・ノウでのCL第1戦を万全の態勢で迎えること。主力の消耗を最小限に抑える起用判断が、ここでは合理的に映る。

両チームの戦力事情

出場停止が重なるアトレティコの中盤

マルコス・ジョレンテジョニー・カルドーソ。いずれも累積イエロー5枚による1試合の出場停止を受ける。ジョレンテは今季リーガで右SBの第一選択肢として機能してきた選手であり、カルドーソは中盤の主力。二人の同時離脱だけでも、スタメンの骨格が揺らぐ。

カルドーソには二重の問題がある。出場停止に加え、アメリカ代表の活動中に左太ももの筋肉を負傷した。代表チームの帯同を離れてマドリードに戻っており、CL準々決勝第1戦(4月8日)への出場も不透明な状況にある。スケジュール的に最も厳しい時期に、アトレティコの中盤は最も薄くなった。

負傷者はほかにも並ぶ。ヤン・オブラクは3月14日の練習中に筋肉を負傷し、CL準々決勝第1戦への復帰を目指しているが、現時点で見通しは立っていない。パブロ・バリオスは筋肉負傷で4月中旬の復帰見込み。マルク・プビルは肋骨の負傷で代表招集が見送られ、CL第1戦にも間に合わない可能性がある。ロドリゴ・メンドーサは足首捻挫で復帰時期が未定。さらにアレクサンダー・ソルロートがノルウェー代表のスイス戦で頭部を強打し、6針の縫合処置を受けた。出場可否は当日の判断になる見込みだ。

中盤はコケアレックス・バエナが軸になり、オベド・バルガスに長時間の出場機会が回る可能性が高い。右SBはジョレンテとプビルの両方が不在のため、ナウエル・モリーナが起用されるだろう。CL準々決勝の陣容をここで使い切るわけにはいかず、シメオネのローテーション判断がこの試合の最大の焦点になる。

ラフィーニャを欠くバルセロナ

バルセロナにとって最大の痛手は、ラフィーニャの離脱だ。代表ウィーク中にハムストリングを負傷し、約5週間の離脱が見込まれている。今季ラ・リーガで11ゴール3アシストを記録していた選手を、アトレティコとの3連戦すべてで欠くことになる。フレンキー・デ・ヨングもCL第1戦に照準を合わせており、このリーグ戦には間に合わない。アンドレアス・クリステンセンはACL負傷で長期離脱中だ。

アレハンドロ・バルデとジュール・クンデは代表ウィーク中に復帰練習へ合流しており、招集される見込みだ。ただし実戦復帰直後であり、先発かベンチかはコンディション次第になる。ラフィーニャ不在の左サイドにはマーカス・ラッシュフォードまたはフェラン・トーレスが起用される可能性が高い。リーグ優勝が射程圏内にある以上、バルセロナがこの試合を完全に軽視する余地は少ないが、CL準々決勝との兼ね合いでハンジ・フリックがどの程度のメンバーで臨むかは、スタメン発表まで読みきれない。

注目選手

オベド・バルガス

中盤の離脱者が重なるなか、最も注目すべきは20歳のバルガスだろう。今季ラ・リーガでの出場は4試合・127分にとどまるが、初先発を飾った3月14日のヘタフェ戦(1-0勝利)では73分間ピッチに立ち、パス成功率87%(33/38)、地上デュエル勝率67%(6/9)、タックル3回、ボール奪取3回と堅実な数字を残した。前半にはパス成功率97%を記録し、Xではアトレティコファンから称賛が相次いだ。

代表ウィークではメキシコ代表としてポルトガル戦(45分出場)とベルギー戦(21分出場)にプレーし、計66分。体力面の不安はない。カルドーソとジョレンテが同時に欠ける以上、先発の機会が回ってくる可能性は十分にある。2月の冬の移籍でシアトル・サウンダーズから加入して間もない若手が、バルセロナ相手にどれだけやれるか。ヘタフェ戦がテスト合格だったとすれば、これは格上との最初の舞台になる。一人のファンとして、強い興味がある。

フアン・ムッソ

ムッソは今季カップ戦の正GKとしてシーズン当初から起用されてきた。コパ・デル・レイでは5試合に出場して3クリーンシート。なかでもコパ準決勝第1戦(2月12日、4-0勝利)ではフェルミン・ロペスの決定機を身体を広げて防ぎ、FotMob 8.8のマン・オブ・ザ・マッチ評価を受けた。

リーグ戦でも実績を積み上げている。ムッソはラ・リーガ初出場から4試合連続クリーンシートという、21世紀初の記録を打ち立てた。昨季のリーグ出場2試合と今季最初の2試合を合わせ、シーズンをまたいで無失点を継続した形だ。今季リーグではオブラク離脱前を含む3試合に出場し、被枠内シュート11本に対し3失点、セーブ率81.8%(Into the Calderón)。オブラク離脱後の2試合に限ると、ヘタフェ戦は無失点で切り抜けたが、マドリードダービーでは3失点を喫した。

格上が攻勢に出た試合では複数失点を許す場面もある。コパ第2戦でバルセロナから3失点、CLラウンド16第2戦でトッテナムから3失点。CL準々決勝を4日後に控えたこの試合で、ムッソが崩れる姿は見たくない。理想を言えば、DF陣がバルセロナの枠内シュート数を抑え、ムッソの負担そのものを軽減できる展開だ。GKへの被弾が少なければ少ないほど、チーム全体の自信を4日後へつなげられる。

キックオフ情報と観戦ポイント

ラ・リーガ 第30節。4月4日(土)21:00 CEST(4月5日(日)4:00 JST)。リヤドエア・メトロポリターノ。

シメオネの起用判断が、まず最初の見どころになる。おそらくCL準々決勝を見据えた選出になるだけに、スタメンの予想は難しい。発表された11人の顔ぶれを見れば、シメオネがこの11日間をどう戦おうとしているのか、その輪郭が浮かび上がるはずだ。

バルセロナの左サイドも気になる。ラフィーニャ不在の穴を埋める可能性が高いラッシュフォードとアトレティコの右SBモリーナがどのようなマッチアップになるか。そしてムッソとDF陣の安定度。枠内シュートを浴びる回数が少なければ少ないほどいい。守備陣がバルセロナの攻撃をどこまで封じられるかが、4日後への安心材料になるか不安材料になるかを分ける。

11日間3連戦の第1幕。結果はもちろん大事だが、それ以上に、この90分がカンプ・ノウとメトロポリターノでの残り2戦にどんな空気を残すのか。そこに注目して見届けたい。試合後はマッチレポートをお届けします。