バレンシア
0 - 2
アトレティコ

全員入れ替えの先発、それでも前半から好機を作った

ディエゴ・シメオネは水曜のCL準決勝第1戦から先発11人を全員入れ替えた。フリアン・アルバレスは足首の問題で欠場。フアン・ムッソナウエル・モリーナロビン・ル・ノルマンクレマン・ラングレといった経験ある選手を軸にしながら、ハビ・ボニャール、フリオ・ディアス、ハビ・モルシージョ、ロドリゴ・メンドーサ、ラヤン・ベライドといったカンテラ出身の若手も一気にメスタージャに送り込まれた。

媒体によって4-5-1とも5-4-1とも表記された配置は、実態としてはモリーナが高い位置を取り、右サイドで攻撃の出口になる可変的な形だった。保持率ではバレンシアが53%でわずかに上回ったが、前半に作った好機の質と数ではアトレティコが上回っていた。Into the Calderónによれば、アトレティコは前半だけで11本のシュートを放ち、今季ラ・リーガのアウェイゲームでは最多だったという。FotMobの試合データでも、最終的なシュート数は12-20、枠内シュートは0-5、xGは1.09対2.04と、内容面の差は数字にもはっきり現れている。

シメオネは試合後の会見でこう振り返った。

「私はこの試合をまさに想定通りに準備していた。モリーナとボニャール、モルシージョ、ラヤンとの連携、そしてラヤンは守備でも非常によく機能した」

ターンオーバー+若手起用は、しばしば「消化試合の体裁」になりがちだ。だが今日のメスタージャでは、出場機会を渇望する側のテンションがピッチを支配していた。

モリーナが見せた「もうひとつの可能性」

右サイドのモリーナは、この日のアトレティコでもっとも目立つ存在だった。試合序盤、彼のバックヒールから生まれたメンドーサの決定機。中盤以降は、PA内に何度も鋭いクロスを送り込み、ハイライトは40ヤード級のロケットシュートがポストを叩いた場面だ。FotMobレーティングは7.9で先発組でも上位。Into the Calderónも8をつけ、MOM級の評価を与えた。

シメオネのモリーナ評は、シーズンを通して一貫している。

「ナウエルに関して、私は確信している。彼のベストはトランジションから前で出る。彼にはゴール感覚があり、いいシュートがあり、アシストも供給できる。攻撃的な位置でプレーすれば、それらをすべて発揮してくれる。深い位置からだとそれが難しくなる」

1対1の守備に課題があり、自陣で背後を取られる場面が今季も散発していた選手が、PA近くで仕事をすると別の顔を見せる。今日のメスタージャは、その「別の顔」をフルサイズで提示した試合だった。

右サイドの主戦であるジュリアーノ・シメオネは不調に苦しみ、ニコ・ゴンサレスは筋肉系の故障で離脱中。アーセナル戦の右サイド人選は、第1戦と同じ顔ぶれをそのまま並べづらい状況にある。

筆者としては、エミレーツでの第2戦に向けてモリーナをより高い位置で使う選択肢は十分にあり得ると見る。ウィリアム・サリバとガブリエウのコンビは正面からの崩しに強く、ペナルティエリア外からゴールを狙える右足は、その堅さの外側を叩く手段として機能しうる。守備のリスクと攻撃の上振れを天秤にかけたとき、今日のモリーナはアーセナルのCBラインを「飛ばす」武器になり得る存在として、十分に検討に値する。

ルケとクボ、19分で2ゴールのデビュー戦

63分、シメオネはイケル・ルケとミゲル・リョレンテ "クボ" を同時に投入した。20歳のルケはラヤン・ベライドと、18歳のクボはハビ・モルシージョと交代。アトレティコ・マドリレーニョから来た2人にとって、トップチームでのリーグ戦デビューだった。

11分後、試合が動く。74分、中盤でボールを受けたオベド・バルガスが左サイドに展開し、抜け出したルケがストーレ・ディミトリエフスキの近サイドに冷静に流し込んだ。デビュー戦11分での先制点。バルガスにとってもアトレティコでの初の得点関与だった。

その8分後、今度はクボの番だった。82分、グリーズマンが浮き球を巧みに収め、ディフェンスラインの裏へ折り返しのパスを通す。バレンシアの守備陣はオフサイドを主張して足を止めたが、クボは判定を待たずにプレーを続行。ペナルティエリア内で右足を振り抜き、VAR確認の結果、ゴールが認められた。守備が止まった一瞬を逃さなかったクボの判断こそが、この得点の本質だった。直後にはムッソへのファウルでバレンシアの反撃が止まる場面もあり、試合の流れはアトレティコ側に傾いた。

データ専門家MisterChipによれば、アトレティコで同じ試合に2人のデビュー選手が得点するのは41年ぶりだという。シメオネは試合後、自分の手柄ではないことを強調した。

「これはフェルナンド・トーレスの仕事であって、我々のものではない。アトレティコ・マドリードへのご褒美だ」

2人をトップチームの舞台へ送り出した背景には、Bチーム・アトレティコ・マドリレーニョを率いるかつてのエースの仕事があった。

もう一つ、流れの整理を加えておきたい。73分、コケとグリーズマンが投入された。直後の74分にルケの先制点が生まれ、82分の2点目はグリーズマンのアシストからだった。グリーズマンはゴールに直接関与し、コケは投入後の時間帯で試合のテンポを整えた。シメオネが「ローテーション=若手任せ」とは別の采配を見せた場面でもあった。

バルガスは投資を超える働きを示し始めている

冬に加入した20歳のメキシコ代表MFオベド・バルガスについても触れておきたい。2月にシアトル・サウンダーズから移籍してきた彼の移籍金は、報道ベースで約350万ドル。同時期にエルチェから加入したロドリゴ・メンドーサが報道上は€16M規模だったことを考えると、かなり抑えた投資だった。当時、その同時加入には戸惑う声もあったが、欧州での適応は予想を上回るスピードで進んでいる。

今日のItCの寸評は「献身的で控えめ」。スタメンの多くと同じく、彼の今日の仕事は「凡ミスをしないこと」を最優先したものだったが、その範囲の中で、ルケへの先制点アシストはきわめて質の高いものだった。プレスを浴びてもボールを離さず、簡素なパスで局面を整える。若いチームの中で、彼の落ち着きは確かに背骨の役割を果たしていた。報道上の移籍金を考えれば、すでに投資を超える働きを示し始めている。

パブロ・バリオス、ジョニー・カルドーゾ、コケ、そして同じく若手のメンドーサやモルシージョとの中盤の競争はこれからだが、シメオネが起用するたびに信頼の器が広がっていく実感がある。

勝点3、無失点、そしてエミレーツへの助走

これでアトレティコは、ラ・リーガでは2月のオビエド戦以来となるアウェイ無失点での勝利を手にした。試合後時点で、3位ビジャレアルとの差は5、1試合消化の少ない5位ベティスとの差は13に広がっている。CL出場権争いの観点でも、貴重な勝点3だった。

そして何より、シメオネは水曜の第1戦から先発11人を全員入れ替え、コケとグリーズマンの出場時間も終盤の17分に抑えた。第1戦に先発した選手の大半を完全に休ませられたことは、エミレーツを見据えるうえで大きかった。試合後の会見で、ローテーションを批判してきた人々に何か言うことはあるかと問われたシメオネの返答は、ひとことだった。

「ない」

水曜の第1戦は1-1のドロー。ヴィクトル・ギェケレシュのPKを、フリアン・アルバレスのPKで返す形だった。アウェイゴールがすでに撤廃されているため、エミレーツに持ち込むのはスコア上の貯金ではなく、コンディションの貯金だ。勝とうが負けようが、コンディションは貯金できていた。シメオネは、そう言える試合運びを選択した。

筆者としては、水曜のCL第1戦に先発した選手のうち、コケとグリーズマンだけを短時間に抑え、残りの主力を出場させずに済んだ価値は、火曜のエミレーツへの3日間で大きさを増していくはずだと思っている。アーセナル相手に、脚の重さは戦術以前の問題になりかねない。

火曜のエミレーツで答え合わせが待っている。

レーティング

先発11名のレーティングは以下の通り。

選手ItCFotMob寸評
フアン・ムッソ67.1仕事は少なかったが安定の無失点。今日のキャプテンを務めた。
ナウエル・モリーナ87.9MOM級。攻撃的な右サイドでクロスとロングシュートを連発し、ポスト直撃のミドルも放った。
ハビ・ボニャール77.3右サイドで攻撃参加。先制点の場面ではPA中央に詰め、リバウンド対応に備えていた。
ロビン・ル・ノルマン67.6ウマル・サディクとの1対1を概ね封じた。デッドボール時の足元には課題が残る。
クレマン・ラングレ68.0落ち着いた守備で最終ラインを締めた。今季屈指の安定感を見せている。
フリオ・ディアス67.7タッチライン際に張る役割を遂行。マッテオ・ルッジェーリへの挑戦権を示し始めた。
オベド・バルガス67.1簡素ながら破綻なし。先制点アシストでアトレティコ初の得点関与となった。
ハビ・モルシージョ67.1DM位置からCB間に降りる動きで組み立てに関与。長距離パスの精度には課題。
ロドリゴ・メンドーサ77.33列をまたぐ運動量と技術。指示の声と身振りにリーダー性の片鱗も見えた。
ティアゴ・アルマダ47.1ItCは厳しい評価。前線2枚で若手に囲まれた中で持ち味は出し切れなかった。
ラヤン・ベライド46.7慣れないポジションで苦戦。1時間の1部経験は今後の財産になる。

交代選手のレーティングは以下の通り。

選手ItCFotMob寸評
ミゲル・リョレンテ "クボ"77.363分〜(←ハビ・モルシージョ)。82分にグリーズマンの折り返しから冷静に決め、デビュー弾を奪った。
イケル・ルケ77.163分〜(←ラヤン・ベライド)。74分のデビュー弾に加え、もう1点を好セーブで防がれただけのアグレッシブな出来。
コケ86.773分〜(←ティアゴ・アルマダ)。投入後の時間帯で試合のテンポを整えた。
アントワーヌ・グリーズマン87.573分〜(←ロドリゴ・メンドーサ)。クボへの折り返しでアシストを記録した。
アレクサ・プリッチn/a90+7分〜(←ハビ・ボニャール)。デビューはわずかな時間だった。

※ItCレーティングはInto the Calderón、FotMobレーティングはFotMobより引用。