アトレティコ
1 - 1
アーセナル

自陣の処理ミスから先制PKを許す

立ち上がりは互角だった。アーセナルはマルティン・ウーデゴール、ノニ・マドゥエケ、ピエロ・インカピエが惜しい場面に絡み、アトレティコもフリアン・アルバレスが14分にステップワークから右足を振り、ダビド・ラヤに鋭いセーブを強いた。前線の3枚はアントワーヌ・グリーズマンとアルバレスを軸にアデモラ・ルックマンが左から絡み、相手の最終ラインに近い距離まで圧をかけ続けた。

試合が動いたのは44分だった。アルバレスのヘディングでの処理が甘くなり、アトレティコは自陣でボールを失った。アーセナルはそこから素早くつなぎ、最後はペナルティエリア内でダビド・ハンツコがヴィクトル・ギェケレシュを倒してPKを与えた。主審のダニー・マッケリーはその場でPKを宣告した。ハンツコにとっては足首の負傷から復帰した一戦目であり、復帰戦の難しさが交錯した一瞬でもあった。

ギェケレシュは強烈なシュートを蹴り込み、アーセナルが先制した。ヤン・オブラクは方向こそ読んだが、コースと球速を上回ることはできなかった。先制を許したものの、前半終了までアトレティコは大きく崩されることなく折り返した。

ル・ノルマン投入で後半の圧が高まる

ハーフタイムにディエゴ・シメオネ監督は手を打った。ジュリアーノ・シメオネを下げ、ロビン・ル・ノルマンを投入した。試合後のシメオネによれば、ジュリアーノは前半のインカピエとの接触後に身体の不調を訴えていたという。後方の枚数と配置を整理し直し、マルク・プビルは右サイドバックとして前への関与を増やした。前半は機能し切らなかった右サイドが、明らかに前へ出始めた。

押し返しの兆しは立ち上がりから見えた。49分にはアルバレスのフリーキックが枠の外へわずかに外れ、53分にはルックマンとグリーズマンが立て続けにシュートを放ち、アーセナルゴールに圧をかけた。流れが完全に傾いたのは、その直後だった。ペナルティエリア内でのマルコス・ジョレンテのシュートがベン・ホワイトの腕に当たり、こちらはオンフィールドレビューを経てハンドが認められた。マッケリーは2本目のスポットキックを宣告した。

キッカーはアルバレス。助走は短く、踏み込みは正確で、左上隅へ突き刺さった。ラヤは動けず、メトロポリターノが弾けた。56分、1-1。アトレティコが押し戻した時間に、追いつくべき得点が落ちてきた形だった。

その後もしばらく圧は続いた。60分過ぎ、グリーズマンの強烈なシュートはクロスバーを叩き、跳ね返ったボールはゴールに入らなかった。74分にはルックマンがペナルティエリア中央から決定機を迎えたが、シュートはラヤの正面を突いた。圧で押し切る時間帯はあったが、押し切れる得点までは届かなかった。

xGで上回っても勝ち越せなかった

90分を通したFotMobのデータは、アトレティコがこの試合で何をしたかを端的に示している。xGは2.22対1.50。シュート数は18対11、枠内シュートは4対2、ビッグチャンスは3対2、ビッグチャンスを外した数は2対1。地上デュエル勝率も59%でアーセナルを上回った。後半に圧を強めた時間帯と合わせれば、内容で押し込んだ試合だったと言って差し支えない。

ただし、結果は1-1である。アトレティコというチームが大事な試合で勝ってきた構図は、相手以上の効率で決定機を仕留めることにあった。守備で耐え、前線で1本を仕留め、もう1本で勝ち切る。その意味で、決定機の数で劣らず、xGでも上回った夜に勝ち越せなかったことは、筆者としては物足りなさが残る結末だった。グリーズマンのクロスバー、ルックマンの正面シュート、終盤のナウエル・モリーナのアディショナルタイムのミドル。決定機の差を活かし切れなかった、という言い方が一番近い。

加えて、第2戦の判断材料として無視できないのが77分にアルバレスが下がったことである。試合中に詳細な交代理由は示されなかったが、試合後には脚に痛みを伴うアクシデントがあったことが報じられ、シメオネも検査を行うこと、そして大事に至らないことを願うと語った。アルバレス交代後はアーセナル側もリズムを取り戻し、終盤にかけて押し戻す時間を作った。86分にはクリスティアン・モスケラがエリア外から強烈なシュートを放ち、オブラクが好セーブで弾き出している。一方的に押し込んで終えた90分ではなく、最後の15分はむしろ拮抗していたという見方が公平だろう。

判定面でも揺れた90分だった。判定論が残ったのは、アトレティコの同点PKと、78分に一度与えられたアーセナルのPKがオンフィールドレビューで取り消された場面だった。78分、エベレチ・エゼがハンツコの接触で倒れ、マッケリーは一度PKを指したが、オンフィールドレビューを経て判定は撤回された。試合後にミケル・アルテタは「完全に受け入れられない」と強く反発し、シメオネもアーセナルの先制PKについて、接触の強度に疑問を示し、CL準決勝という舞台でPKと判断される場面だったのかという不満をにじませた。アトレティコにとっての分かれ目は、得たPKよりも逃したシュートの方にあった。

中盤の均衡とルッジェーリの対応

パブロ・バリオスを欠いた中盤がどう機能するかは、試合前に最も神経質に見られたポイントのひとつだった。ふたを開けてみれば、ジョニー・カルドーソコケのコンビは、デクラン・ライスやマルティン・スビメンディ、ウーデゴールらを擁する相手に対して質的な劣勢を見せなかった。ジョニーは前半早々にウーデゴールの決定機をブロックで消し、後半には縦方向の関与を増やしてラインを押し上げた。コケは90分を通してアトレティコの中盤を整理し続けた。CL準決勝という負荷の中で、長年のキャプテンがほぼフルタイムを担えていること自体、シメオネの中盤運用にとっての大きな前提になっている。

ボール保持の数字も、試合の体感を裏付けている。保持率は52%対48%、パスは506本対480本でアトレティコが量で上回り、精度は83%対88%でアーセナルが上回った。量で押し、精度で削られた、という関係である。中盤でボールを取り上げられ続ける展開ではなく、自分たちのテンポで持って運べる時間も確保できた点は、第2戦に向けて確かな手応えとして残る。

サイドの守備では、マッテオ・ルッジェーリの安定が光った。主に自分のサイドの対面となるマドゥエケやサカに大きな仕事を許さず、近くに流れてきたエゼにも簡単には前を向かせなかった。ItCのレーティングも6点で、評はシンプルに「またしても、十分な仕事をした」というものだった。プビル、ジョレンテも含め、サイドの背後を簡単に取られる回数は少なく、アーセナルのサイドアタックを起点で潰せた回数も多かった。

アーセナル側で印象に残ったのは、ガブリエウ・マガリャンイスを中心とした最終ラインの粘りだった。アトレティコの後半の連続的な攻勢に対し、ペナルティエリア内で身体を投げ出し、決定機の最後の場面でシュートのコースを限定する仕事を続けた。マガリャンイスを中心としたCBコンビは、押し込まれる時間でも最後の局面で崩れなかった。彼らが、自陣で時間がある状態だけでなく、押される時間でも安定を保てることを示した夜でもあった。

アルバレスの状態とエミレーツへの90分

90分を終えて残ったのは、内容で上回ったという感覚と、それでも1-1という事実、そしてアルバレスのコンディションへの不安である。シメオネは試合後の会見で「前半は互角だった。彼らはボールを持つ時間こそあったが、多くの決定機は作れなかった。後半は我々の方が良かった」と振り返り、グリーズマンも「後半はより強度を持ってプレーできた。第2戦も同じやり方でいく」と続けた。UEFA選出のPlayer of the Matchはグリーズマンだった。今季CLにおけるメトロポリターノでの最後のホームゲームにふさわしい役回りで、攻守両面で試合を背負った。

アルバレスはこの試合でCL通算25得点目に到達した。これはCLでの41試合目での到達であり、リオネル・メッシが42試合で記録した同数字を上回るアルゼンチン人最速の記録となる。さらに、今季CL10得点目はアトレティコ史上初めての単一シーズン2桁である。プレーオフから準決勝まで、攻撃力の中心に居続けた選手であることは、もはや論を待たない。だからこそ、脚の状態は注視せざるを得ない。第2戦に向けた状態確認が必要であり、出られるかどうかはここから1週間の経過次第となる。

アーセナルは今季CLを13戦無敗(10勝3分)で走り続けており、今季この大会で唯一の無敗チームでもある。アルテタはエゼのPK取り消しに強い不満を示しながらも、難しいメトロポリターノの空気の中で引き分けを持ち帰ったチームの粘りを評価した。エミレーツでの第2戦は、彼らが高い守備強度を維持しながら、ホームの後押しで攻め切ろうとしてくる90分になる。アルバレスの状態次第では、アトレティコが先発の組み合わせを変える可能性もある。

スコアの上では引き分け、チャンス量ではアトレティコが上回り、しかし押し切れず、最終盤は相手も押し戻した、そういう90分だった。エミレーツでは、相手の勢いも今日より一段上がる前提で考えるべきだろう。文字通りの死闘になる可能性が高い1週間後の90分に向け、メトロポリターノで掴んだ感触をどう運ぶかが問われる。

レーティング

ItCのレーティングと、FotMobのレーティングを併記する。

選手ItCFotMob寸評
オブラク56.6ギェケレシュのPKは方向を読んだが、強烈な一撃を弾けなかった。86分のモスケーラの決定機には好セーブで応えた
ルッジェーリ67.7主に自分のサイドの対面となるマドゥエケやサカに大きな仕事を許さず、近くに流れたエゼにも前を向かせなかった。十分な仕事
ハンツコ56.7負傷からの復帰戦。前半終了間際のPK献上は不運な側面もあった。78分のエゼへの接触はオンフィールドレビューで取り消され、難所を逃げ切った
プビル76.9後方の形が変わった後半は右サイドバックとして前への関与を増やし、本職に近い役割で安定した出来を見せた
ジョレンテ76.6攻撃の支援、守備のリカバー、中盤の安定。汎用性の高さで今季もシメオネが最も信頼している選手であることをまた示した
コケ67.590分を通してアトレティコの中盤を整理し続けた。CL準決勝で長年のキャプテンがほぼフルタイムを担えている事実こそ、当たり前ではない
ジョニー・カルドーソ56.7前半早々にウーデゴールの決定機をブロックで消した。後半に存在感を増し、ポジショニングでの貢献が増えた
ルックマン57.8前半は完全フィットでないことも影響しベン・ホワイトに苦しんだ。後半は決定機を作ったが、74分の正面シュートをはじめ仕留め切れず。アトレティコ加入後初の90分
ジュリアーノ・シメオネ46.7マルティネッリへの対応で苦戦し、攻撃でも違いを作れなかった。前半のインカピエとの接触の影響もあり、HTで交代
グリーズマン77.4今季CLにおけるメトロポリターノでの最後のホームゲーム。60分過ぎのシュートはクロスバー直撃。攻守両面でクラスを示し、UEFAのPlayer of the Matchを受賞した
アルバレス88.314分にラヤに好セーブを強い、56分のPKは完璧。試合のすべてに絡み続けたが、77分に下がった
選手ItCFotMob寸評
ル・ノルマン66.446分〜(←ジュリアーノ)。代表復帰へのモチベーションが伝わる安定した守備で、後方の形変更を支えた
バエナ56.677分〜(←アルバレス)。終盤の攻撃を組み立てたが、創造性で違いまでは作れなかった
モリーナn/a-88分〜(←ジョニー)。アディショナルタイムに放ったエリア外からのミドルが、最後の決定機だった

※ItCレーティングはInto the Calderón、FotMobレーティングはFotMobより引用。