バルセロナ
vs
アトレティコ

リーガの続きでも、コパの焼き直しでもない

4月4日のリーガで、アトレティコ・マドリードはFCバルセロナに1-2で敗れた。45+7分にニコ・ゴンサレスが退場し、後半はまるまる10人。それでも後半に許したのは87分のロベルト・レヴァンドフスキ弾だけだった。ダビド・ハンツコアデモラ・ルックマンフリアン・アルバレスはベンチスタート。マルコス・ジョレンテも出場停止で不在だった。スコアは敗戦を示しているが、あの90分にはもう一つの意図がある。第1戦に何を残すか。シメオネが優先したのは、そちらだ。

一方で、カンプ・ノウでのコパ・デル・レイ準決勝第2戦で0-3と押し込まれた記憶もまだ新しい。ただ、あの夜に3点を決めたのはマルク・ベルナルの2点とラフィーニャの1点。今回はベルナルが左足首の捻挫、ラフィーニャが右ハムストリング負傷で不在見込みだ。同じカンプ・ノウ、同じ相手。条件は違う。この第1戦で問われるのは、単に耐えられるかではなく、第2戦へ何を残せるかだ。

戦力整理

アトレティコには上積みがある。ヤン・オブラクマルク・プビルロドリゴ・メンドーサが全体練習に復帰した。ホセ・マリア・ヒメネスはなお不透明だが、ジョレンテはリーグ戦の出場停止を終えて戻ってくる。4月4日とは並びも強度も変わりうる。

それでも、筆者の見立てでは第1戦のGKはフアン・ムッソ継続起用に十分な理がある。コパ第2戦では何度も危機をしのぎ、アトレティコを決勝へ運んだ。4月4日のリーガでも6セーブを記録し、終盤まで試合を壊さなかった。オブラクが戻れる状況自体は朗報だが、CL第1戦はムッソ、オブラクはセビージャ戦での復帰という選択も自然に思える。

FCバルセロナ側で最も大きい違いはラフィーニャ不在だ。クラブは3月27日に推定5週間の離脱を公表しており、4月のアトレティコ3連戦すべてに間に合わない見通しとなっている。ベルナルも第1戦欠場見込みだ。今季のFCバルセロナは依然として強力だが、コパ第2戦で3点を奪ったときの攻撃の並びは、もう再現できない。

第1戦で最も大事なこと

この90分で最も大事なのは、耐えることそのものではない。第2戦に何を残すかだ。UEFAの規定では、警告累積は準々決勝終了後にリセットされる。裏を返せば、警告リーチの選手にとっては第1戦での1枚が第2戦の出場停止に直結する。

アトレティコでは多くの主力が警告リーチにある。なかでもジョレンテ、ジュリアーノ・シメオネ、プビル、そしてラミン・ヤマル対応の第一候補に見えるルッジェーリは、第2戦で欠きたくない顔ぶれだ。相手の圧力に耐えるだけでなく、重要な選手を失わない形で耐え切ること。それが第1戦の最大のテーマになる。

カードの制約だけではない。カンプ・ノウでのFCバルセロナ相手に、アトレティコがボールを握り続ける展開は現実的ではない。となれば、試合の輪郭はおのずと見えてくる。限られたチャンスをものにしながら、相手の攻撃をどこまで致命傷にしないか。ジョレンテが中盤で強度を保てるか。アルバレスとルックマンがトランジション時に前線の出口になれるか。守る時間の質が、そのまま第2戦の景色を決める。

注目選手

フリアン・アルバレス

第1戦の攻守をつなぐ最重要人物は、やはりアルバレスだ。リーグ戦で温存されたぶん、この90分には高い強度で入れる。今季のUEFAチャンピオンズリーグでは11試合で8得点4アシスト。アトレティコ内で得点、アシスト、チャンスクリエイトのすべてが最多で、高強度プレッシャー702回は大会全体最多とされる。少ない好機を仕留める嗅覚。前線からの圧力でFCバルセロナのビルドアップを狂わせる強度。勝機があるとすれば、その両方を90分維持できるかどうかにかかっている。

マッテオ・ルッジェーリ

ルッジェーリに求められる仕事は明快だ。ラミン・ヤマルをどこまで外へ追いやり、存在感を薄められるか。4月4日のリーガでは後半頭から入り、左サイドの対応を立て直した。ESPNの記事でも、ヤマルを比較的静かにした点が評価されている。もっとも、今回重要なのは封じ込めることだけではない。自身がイエローカードを受けず、第2戦まで含めた180分の前提を守ることも同じくらい大きい。ヤマルに対してルッジェーリ以外の最適解が固まり切っていない以上、彼にできるだけ長く対応を任せる形がもっとも理想的に見える。

フアン・ムッソ

ヤマルを抑えても、ペドリのスルーパスやダニ・オルモの連携から、1対1に近い場面は試合の中で必ず生まれる。そこでムッソが何本止められるかが、この第1戦の行方を変えうる。コパ第2戦では幾度もの危機をしのぎ、アトレティコを決勝へ運んだ。4月4日のリーガでも6セーブを記録している。チャンスの数で上回ることより、ピンチの数をどれだけ凌げるかが問われる90分。その中心にいるのは、この男だ。

キックオフ情報と観戦ポイント

UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝第1戦。4月8日(水)21:00 CEST、会場はカンプ・ノウ。見どころははっきりしている。アトレティコが少ない決定機をどれだけものにできるか。ルッジェーリがヤマルをどこまで外へ追いやれるか。ムッソが相手の決定機をいくつ止められるか。そしてジョレンテ、ジュリアーノ、プビル、ルッジェーリといった選手を、無傷で第2戦へ残せるか。リーガの続きでも、コパの焼き直しでもない。今回の90分で問われるのは、壊れず、失わず、メトロポリターノへ何を持ち帰れるかだ。試合後はマッチレポートをお届けします。